『ノンレムの窓』
バカリ出演・脚本作『ノンレムの窓』は、自身がナビゲーターを務めるSFショートショートドラマ。まさにS(少し)F(不思議)な超常エピソードを独特な目線で淡々と描くオムニバス形式で、例えるならば「世にも奇妙な◯◯」のフォーマットで2020年代の規模感での“リアル”や“共感”を描きつつ、そこに藤子・F・不二雄SF短編の風味をまぶすという、冷静に考えると凄まじいことをやってのけている。しかも1話15分前後の尺で、毎話の締めくくりに気の利いたコント(?)も見せるあたり、芸人としてのコダワリも感じさせる。
原案・脚本:バカリズム
出演: 風間俊介 村川絵梨 片山友希 斉藤由貴 升野英知 ほか
https://www.youtube.com/watch?v=LJvE2MfUPX0
『架空OL日記』
多くの女性視聴者が「バカリズム、すごいな……」と唸ったドラマが、OLたちの文字通りの日常を描いた『架空OL日記』で、映画化もされている。本作は女性銀行員たちの生態=脳内つぶやきと社内・外コミュニケーションを描いているが、いわゆる男性の先入観による“OL裏話モノ”とは一線を画す。
なにかと揶揄されがちな彼女たちの言動には明確な“ワケ”があり(無理筋な愚痴もあるが)、かつそれらを会話=セリフで全て説明してくれているので、ゴリゴリに共感しながらもめちゃくちゃリラックスして鑑賞できる。登場人物たちは“前置き”や“事実共有”が不要な関係性ゆえに、キャスト陣の演技も全てアドリブかと思うほど自然。なぜかバカリ自身がOLの一人を演じていることも、その女性共感度の高さを考えると単なる“ネタ”ではないと納得できるはず。
原作・脚本:バカリズム
出演:升野英知 夏帆 臼田あさ美 佐藤玲 山田真歩
『住住』
さらに“現実”とリンクさせた作品が、2017年から放送されている『住住』(すむすむ)だ。本作はバカリズムと若林正恭(オードリー)が本人役で出演するシチュエーション・コメディ。“芸能人の日常”と言うには庶民的すぎるやり取りが繰り広げられるが、台本とアドリブの境界線が分からない“ダベり”ベースのやり取りがニヤニヤを誘発する。バカリ&若林の距離感を楽しみたいコアファン向け作品の側面もありつつ、他キャストを含む“会話の間”や何気ない問答に集中してみると、また違った味わいが出てくる。
なお第1シリーズは二階堂ふみ、第2シリーズは水川あさみが共演、そして第3シリーズから日村勇紀(バナナマン)、第4シリーズから近藤春菜(ハリセンボン)が加わって一層うるさく、もとい賑やかに。本職お笑いと演技ガチ勢の掛け合いが想定外の化学反応を起こす瞬間もあり、いつの間にか目が離せなくなっている不思議な作品だ。
原案・脚本:バカリズム
出演: バカリズム 若林正恭 二階堂ふみ 水川あさみ ほか