短編アニメーション映画賞
『Letter to a Pig』
エルサレム映画祭、オタワ国際アニメーション映画祭、アヌシー国際アニメーション映画祭、シカゴ国際児童映画祭など、さまざまな国際映画祭で受賞。ホロコーストの生き残りである年老いた男性の辛い記憶と、それを聞いた少女の内なる旅の様子を描いた作品。基本はモノクロで描かれたシンプルなアニメーションでありながら、手や目などの実写、また人やブタの肌の色が各所に加えられることで、その人物が過ごしてきた年月や感情、生き物としての体温や躍動感が表現されている。
『Ninety-Five Senses』
五感を楽しむ余命わずかの死刑囚が贈る、肉体の五感への頌歌。ティム・ブレイク・ネルソンと、ラテンアメリカとアメリカの多彩なアニメーター・チームが、この後悔と贖罪のほろ苦い物語に命を吹き込む。
『Our Uniform』
イラン人の少女が、古い制服のシワや生地を通して学生時代の思い出を回想するという独創的なプロジェクトで、学生服に使われる布を使って強烈なストーリーを語る、自主制作による7分間のアニメーション。仏アヌシー国際アニメーション映画祭で初監督作品賞を受賞。
『Pachyderme』
少女ルイーズは毎夏のように、数日間の休暇中、田舎の祖父母に預けられる。庭の緑の芝生、湖での水泳、おじいちゃんとの釣り、すべてがおばあちゃんのイチゴパイのように甘く感じられる。しかし、今年は真夏に雪が降り、“モンスター”が死んでしまう。
『War Is Over! Inspired by the Music of John & Yoko
ジョン&ヨーコの代表的な反戦ホリデーソング「Happy Xmas (War Is Over)」がフィーチャーし。元ピクサーのデイヴ・マリンズが監督した11分間の短編アニメーション。製作総指揮はヨーコ・オノとショーン・レノン。
https://www.youtube.com/watch?v=OrcilSXWa8M
長編ドキュメンタリー映画賞
『ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント』
ウガンダの人気歌手であり、政治家として活動し野党を率いるボビ・ワイン。35年間も政権の座にいるムセベニ大統領は、さらに5年の任期を得るために憲法の改正に及ぶ。このドキュメンタリー作品は、長年にわたる強権的な独裁体制に終止符を打つべく、ワインが音楽の力を通じて多くの若者の支持を集め、身の危険も顧みず大統領選に挑んだ姿を描く。民衆のために社会の変革を目指す彼の行動が、世界中の人々の心を強く捉える。
▶米「ナショナル・ジオグラフィック」のYouTubeで公開中
『The Eternal Memory』
長年TVジャーナリストを務めたアウグストと元文科大臣で女優のパウリーナは、25年間連れ添った夫婦。しかし8年前、アウグストがアルツハイマー病と診断される。夫婦は、彼がパウリーナを認識できなくなる日を恐れているが、その愛は純粋で永遠――。2023年にサンダンス映画祭で審査員大賞を受賞。
『Four Daughters』
ISISに2人の娘を奪われたチュニジアの母親。フォー・ドーターズ』は、その経緯に迫る。
オルファ・ハムルーニの16歳と15歳の娘はISISに参加するため家を去った。この映画は2人の俳優を娘たちの代役に立て、オルファと残された2人の娘たちと“家族の姿”を追体験しようと試みる。ドキュメンタリーとフィクションを織り交ぜることで映画の枠を押し拡げ、カンヌ映画祭ほか数々の賞を獲得。
『To Kill a Tiger』
インド・ジャールカンド州で暮らす農民のランジットは、性的暴行の被害者である13歳の娘のために正義を求め、人生を賭けた戦いに挑む。20分に1件のレイプが報告され、有罪率は30%にも満たないインドにおいて、娘を支援するというランジットの決断は事実上、前代未聞だという。
『実録 マリウポリの20日間』
ロシアによるウクライナ侵攻を知り、マリウポリに向かったAP通信取材班。海外メディアが脱出する中、市内に残った彼らが撮影した映像は、国際社会を揺り動かした。(※ロシアの反政府運動指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏の不可解な“獄中死”が2月17日に報じられた)
短編ドキュメンタリー映画賞
「The ABCs of Book Banning」
「The Barber of Little Rock」
米アーカンソー州リトルロックの理髪師アーロ・ワシントンの物語を通して、アメリカの人種間の貧富の格差を描く。
▶The New YorkerのYouTubeで公開中
「Island in Between」
中国の沖合わずか2マイルに位置する台湾の金門島。1949年の中国内戦の遺構が観光客を惹きつけている金門島だが、中国との緊張が高まる台湾の最前線でもある。
監督のS・レオ・チアンは、台湾、中国、そしてアメリカとのアンビバレントな絆を持つ自身の物語と、観光客の訪問や地元の生活の叙情的な映像を織り交ぜながら、この島々の不安な平和を探り、台湾の不確かな未来について考察する。
▶The New YorkerのYouTubeで公開中
「ラスト・リペア・ショップ」
かつてのアメリカでは珍しくなかったが、現在はロサンゼルス市が無料で楽器を修理して公立学校の生徒に提供する、アメリカで最大かつ最後の市で、そのサービスは1959年から続いている。本作ではダウンタウンにある、とある倉庫 の隅々まで撮影。そこでは学生たちのために、8万を超える楽器の修理 に情熱を傾ける、数名の職人たちが働いている。
▶Los Angeles TimesのYouTube、ディズニープラスほかで配信中
「世界の人々:ふたりのおばあちゃん」
台湾系アメリカ人のショーン・ワン監督が、親友でありルームメイトの80代と90代の女性2人にカメラを向ける。互いに支えあいながら、ダンスや腕相撲、料理など日々楽しく穏やかに過ごす彼女たちのありのままの姿や思いとは? クスっと笑える魅力的なふたりの日常から、生きる意味や老いについて考えさせられる短編ドキュメンタリー。
▶ディズニープラスで3月22日より独占配信
短編実写映画賞
『彼方に』
残虐な犯罪により失意のどん底にたたき落とされた男。ライドシェアサービスのドライバーとして虚しい日々をやり過ごすなか、ひとりの乗客の存在が彼の心を揺さぶり、哀しみと向き合わせる。
『Invincible』
自由を求めて絶望的な探求を続ける14歳の少年、マルク=アントワーヌ・ベルニエの人生における最後の48時間を描く、実話にインスパイアされた物語。
▶ヴィンセント・ルネ・ロルティ監督のVimeoチャンネルで公開中(英語字幕あり)
『Knight of Fortune』
デンマーク在住のラッセ・リスケア・ノアーの監督・脚本デビュー作。愛する妻の死と向き合おうとする年老いた男の物語を、個人的なアプローチで人間くさく、かつスリリングに描く。
『Red, White and Blue』
レイチェル(ブリタニー・スノウ)は、その日暮らしを送るシングルペアレント。予期せぬ妊娠によって、ただでさえ不安定な立場が崩れそうになったとき、彼女は中絶を求めて州境を越えることを余儀なくされる。
『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』
ギャンブルでイカサマをするために、ある特殊能力を身につけようとする金持ちの男をウェス・アンダーソンが描く。原作はロアルド・ダールの人気小説。
長編アニメーション映画賞
『マイ・エレメント』(ディズニープラスで独占配信中)
『ニモーナ』(Netflixで独占配信中)
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(Prime Videoほか配信中)
主要部門作品も続々配信開始!
現時点で動画配信サービス等で鑑賞できる作品は以下の通り(視聴リンク有り)。
『アメリカン・フィクション』(Prime Videoで2月27日より独占配信)
ノミネート:作品賞/主演男優賞/助演男優賞/脚色賞/作曲賞
ノミネート:作品賞/助演男優賞/助演女優賞/脚色賞/美術賞/衣装デザイン賞/主題歌賞
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(AppleTV+ほか配信中)
ノミネート:作品賞/監督賞/主演女優賞/助演男優賞/美術賞/撮影賞/衣装デザイン賞/編集賞/作曲賞/主題歌賞
『マエストロ:その音楽と愛と』(Netflixで独占配信中)
ノミネート:ノミネート:作品賞/主演男優賞/主演女優賞/脚本賞/撮影賞/音響賞/
『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』(Netflixで配信中)
ノミネート:主演男優賞
『ナイアド ~その決意は海を越える』(Netflixで独占配信中)
ノミネート:主演女優賞
ノミネート;撮影賞
ノミネート:美術賞/衣装デザイン賞/視覚効果賞
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(ディズニープラスほか配信中)
ノミネート:作曲賞
『フレーミングホット! チートス物語』(ディズニープラスで独占配信中)
ノミネート;主題歌賞
ノミネート:音響賞/視覚効果賞
ノミネート:メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(ディズニープラスで配信中)
ノミネート:視覚効果賞
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(Prime Videoほか配信中)
ノミネート:音響賞/視覚効果賞
第96回アカデミー賞授賞式は2024年3月11日開催(日本時間)