1 2
オピオイド危機とは?
オピオイドとは、ケシから抽出した成分やその化合物から生成された医療用鎮痛剤(医療用麻薬)で、優れた鎮痛効果のほか多幸感や抗不安作用をもたらす。1995年、米国では製薬会社パーデュー・ファーマがオピオイド系処方鎮痛剤「オキシコンチン」の承認を受け、常習性が低く安全と謳って積極的に販売。主に疼痛治療に大量に処方されるようになり、2000年頃から依存症や過剰摂取による中毒死が急増。全米で過去20年間に50万人以上が死亡し、大きな社会問題となっている。
日本版予告編は、ノーウェイブバンドBush Tetrasの“You Can’ be Funky”をバックに、写真家ナン・ゴールディンが、斬新で生々しい題材を被写体にして時代の寵児となり、今や「どこの美術館も彼女の作品を欲しがる」という、輝かしい経歴から始まる。
場面は変わり、ゴールディンは多くの仲間とともにメトロポリタン美術館で「サックラー家はウソつき!人殺し!」と叫んでいる。サックラー家は、製薬会社を営む大富豪で「オキシコンチン」という鎮痛剤を安全な薬と偽り販売し、アメリカで50万人もの命を奪ったのだ。そしてその莫大な売り上げを世界中の美術館に寄付することで慈善家として知られていた。彼女はなぜ、巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したのか。予告編にはその途方もない戦いの道のりの一端が収められている。
『美と殺戮のすべて』は3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国ロードショー
1 2