冴えない人生から光をすくいとるユーモア
ブリジットと同世代で感情移入してしまう、もしくは過去に似たようなモヤモヤを抱えていた人にとってはズシリときそうなテーマではあるが、まずは先入観を持たずに観てほしい。きっと開始十数秒で本作が持つ“軽やかさ”に救われたような気分になり、“なんとなく”の鑑賞が秒で“前のめり”に変わるはず。さらに全編に散りばめられた細かい“チョイ笑い”ポイントが、「なんか意識高め?」みたいな先入観も取り払ってくれる。
それはオサリヴァンが、本年度アカデミー賞ほかあらゆる映画賞を席巻している『バービー』のグレタ・ガーウィグ監督の出世作、『レディ・バード』(2017年)に触発されて脚本を書き始めたという事実と無関係ではないだろう。『ハンナだけど、生きていく!』(2007年)や『フランシス・ハ』(2012年)の頃からガーウィグのド日常ユーモアは、たくさんの人の沈殿したモヤモヤから僅かな光をすくいとってきたのだ。
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— 映画『セイント・フランシス』公式ツイッター (@frances_0819) July 16, 2022
主演・脚本
👱♀️#ケリー・オサリヴァン👱♀️
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本作で脚本家デビュー✨
”#グレタ・ガーウィグ に続く才能”と絶賛‼️✨
『#セイント・フランシス』
𝟴.𝟭𝟵 𝗙𝗿𝗶 𝗥𝗢𝗔𝗗𝗦𝗛𝗢𝗪 pic.twitter.com/57GQ23mfh4
オサリヴァンが自身の経験もまじえて書いたという脚本には、「TPOをわきまえて」とか「カジュアルすぎる」と感じる人もいるかもしれない。でもシーン毎の“背景”を文字通りちゃんと見ておけばオサリヴァンの“意図”に気づけるようになっているし、それらが観客の違和感に対する回答にもなっている。
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— 映画『セイント・フランシス』公式ツイッター (@frances_0819) August 2, 2022
実生活でもパートナー💕
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「ラストシーンに思い悩んでいたら、彼がさらっと完璧なプランを提案してくれたの」#アレックス・トンプソン 監督が提案し、ケリーも賞賛をおくるラストシーンにも注目👀#ケリー・オサリヴァン
𝟴.𝟭𝟵 𝙁𝙧𝙞 𝙍𝙊𝘼𝘿𝙎𝙃𝙊𝙒
映画『#セイント・フランシス』 pic.twitter.com/YhBonCnUUX
私たちの毎日はとにかくキツくてクソみたいなことばかりで泣きたくなるし大声で悪態をつきたくもなるけれど、もし客観的に見られたら、きっと喜劇みたいに滑稽なんだろう。それでも本作のラストシーンのように、カラリと笑えてしんみり泣ける瞬間があれば、なんとか生きていけるかもしれない……なんて思わせてくれる、生涯の大事な1本になりうる映画だ。
『セイント・フランシス』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年2月放送