仇討ち時代劇が熱い友情を描くコメディに!?
『サマータイムマシン・ブルース』(05)で共演して以来、本作が約20年ぶりの共演となるムロツヨシと永山瑛太は、プライベートでも親交が深い。
新たな「忠臣蔵」を描く本作における孝証と蔵助はムロと永山の当て書きだという脚本家の土橋は、2人の関係は「いわば“ロミオとジュリエット状態”」という驚きの裏設定を明かす。障害があればあるほどお互いを強く結びつける状況のなか、相通じるものを見つけた2人が<世紀の身代わりミッション>を果たそうと駆け抜ける……まさにムロと永山ならではの“最強バディ”と言えるだろう。
伝統的な「忠臣蔵」は大石内蔵助率いる47人の赤穂浪士が、吉良上野介に切りかかったことで切腹を命じられた主君の無念を晴らすために敵討ちを果たすという、両者の対立を描いた物語である。つまり、ムロツヨシが一人二役で演じる上野介(孝証)は永山演じる大石にとって従来、斬るべき存在として描かれてきたのだ。
しかし、時代劇コメディとして「忠臣蔵」を新たに蘇らせた本作で土橋は、2人の関係性に新たな考察を加えている。
昔からの忠臣蔵ですと大石はヒーローであったりするのですが、よくよく考えたら(孝証も大石も)“上司の後始末をする二人”ということなんですよね。サラリーマン的価値観といいますか、しょうがなく自分がやらなきゃいけない。なおかつ2人ともお人好しなので、やらなきゃいいのについつい引き受けてしまって、どんどんトラブルに巻き込まれてしまうんです。
純粋に“仇敵”とは割り切れない孝証と大石。2人はお互いの素性を知らないうちに運命的に出会い友情を深めていくが、土橋は「敵対はしていなくて、最初から相通ずるものがあるんです。命を助けたり、運命の出会いみたいな感じがあったりして。随所に2人がお互いを思いあっているシーンが出てくるので、そういった人と人とのつながりの中で、戦を避けていくみたいなところが出ていればいいなと思っています」と、まるで20年来の友人であるムロと永山とシンクロするかのように、敵味方の関係を超えた熱い友情が2人を結び付けていることを明かしている。
『身代わり忠臣蔵』は2024年2月9日(金)全国公開