その名を世界に知らしめたハマり役との出会い
現在のジェリーのイメージに繋がるきっかけとなった作品といえば、2007年公開の『300 〈スリーハンドレッド〉』だろう。鍛え上げられた肉体には、スパルタ軍300人を率いるカリスマ、レオニダス王を演じるのに文句なしの説得力があった。このハマりっぷりが絶賛されたことでジェリーは、しっかりと演技ができるアクション俳優としての一歩を歩み出すことになる。
男前ゆえに『P.S.アイラヴユー』(2007年)や『男と女の不都合な真実』(2009年)などロマコメ作品への出演もあったが、やはり印象として強いのは眉間にしわを寄せた逞しい役どころ。サスペンスフルな復讐ドラマ『完全なる報復』(2009年)、米大統領をテロリストから守る『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年)、ロシア大統領の救出ミッションに挑む『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年)、スゴ腕の銀行強盗団と闘う隠れた名作『ザ・アウトロー』(2018年)、巨大隕石の衝突から家族を守る『グリーンランド -地球最後の2日間-』(2020年)などなど、ここ数年だけでも数多くの秀作アクションに主演してきた。
ジェリー「『ロスト・フライト』のトランス機長は使命感に燃える男なんだ」
とにかく何かを守ったり挑んだりするサスペンス~パニック~アクション映画ファンにとってのファーストチョイス的な存在となったジェリー。そして間もなく公開の最新作『ロスト・フライト』では“真面目なパイロット”でありながらカタギとは思えない臨機応変ぶりを発揮してくれるので、大いに期待してほしい。
リアリティを追求した本作で演じたトランス機長について、ジェリーは「トランスは深みのあるキャラクターだ。危険な反乱勢力と戦う戦術的な経験はないけれど、乗客に対して、それから彼が会いにいこうとしている娘に対して、深い責任感を負っているんだ。緊急着陸後、乗客を守るために誰も予想していなかったようなことを行うことになる。使命感に燃える男なんだよ」と語っている。
彼のフィルモグラフィーで印象的なのは「等身大のヒーロー像」を演じ続けていること。スーパーパワーがあるわけでも圧倒的な財力があるわけでもなく、ただ一人の父親として、使命を果たす兵士として、演じるキャラクターの強さや生きざまを体現できる稀有な俳優なのだ。
弁護士の道を捨て、役者の夢を諦めることなく観客に勇気を与える存在となったジェラルド・バトラーの“これから”に目が離せない。
『ロスト・フライト』は2023年11月23日(木・祝)より全国ロードショー