“頼りがい”の塊のような男
ジェラルド・バトラーという名を聞いて、どんな映画を思い浮かべるだろうか。あるときは犯罪組織と戦い、またあるときは自然災害と対峙する、頼りがいの塊のような存在感。筋肉をむやみに誇示するようなことはないが、いまやハリウッドに欠かせない俳優の一人となったバトラーは“ジェリー”の愛称でファンに親しまれている。
そんなジェリーの数ある主演作の中からベスト作品を選ぶのは容易なことではないが、主演最新作『ロスト・フライト』は多くの映画ファンの新たなフェイバリットになりうる1本だ。ということで、2023年11月23日(金)の全国公開を前に、ジェリーの“これまで”を振り返っておこう。
弁護士事務所に就職するも酒に溺れ……
ジェリーはスコットランド・グラスゴー出身、11月13日生まれの54歳。幼少期から学業の成績は優秀で、地元の名門グラスゴー大学に進学し法律を専攻、そして首席で卒業。卒業後はエリザベス女王のマネージメントも手掛ける弁護士事務所に就職。そう、実は俳優としてのキャリアをスタートする前は弁護士だったのだ。エリート街道まっしぐら、まさに順風満帆のキャリアである。
しかし、ジェリーの夢は弁護士になることではなかった。若きジェリーは「役者になる」という夢を捨てきれず、葛藤の末に酒に溺れ、アルコール依存症に。その影響かどうかは定かではないが、結局弁護士事務所はクビになってしまう。そこで一念発起したジェリーは英ロンドンに引っ越し、本格的に役者を目指し始める。
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舞台版「トレインスポッティング」にも出演
舞台版「トレインスポッティング」でのレントン役などを経て、1997年に『Queen Victoria 至上の恋』で映画デビューを果たす。映画初主演は『ドラキュリア』(2000年)での吸血鬼役。そして、日本を含む世界中での知名度をぐっと引き上げたのが『オペラ座の怪人』(2004年)だ。
この頃のイメージからは、現在の無骨なジェリー像は想像できない。190センチ近いスラリとした長身、端正だが野性味のあるルックスと意外なほどのイケボで観客を魅了する、つまり分かりやすくイケメン路線だったのである。
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