世界を震撼させた第35代アメリカ大統領 ジョン・F・ケネディ暗殺事件から60年、新たに解禁された機密文書から真相を暴き出す衝撃のドキュメンタリー『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』が本日、11月17日(金)より全国公開となる。
このたび、本作の監督を務めるオリヴァー・ストーンと、プロデューサーを務めるロブ・ウィルソンの日本独占オフィシャルインタビューが公開された。
JFK暗殺の「新証言」を深く掘り下げる
オリヴァー・ストーンが『JFK』(1991年)で綿密な調査に基づく独自の視点から描いた陰謀のストーリーは、そのセンセーショナルな内容から世界中で大ヒットを記録した。そんな同作の公開後、新たに解禁された何百万ページにおよぶ機密解除文書の中から“真実”と思われる重要な発見を白日の下に晒し、主要メディアが無視し続けてきた陰謀の真相をあぶり出したのが、『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』だ。
本作は、長期間にわたる調査と、事件の目撃者をはじめとする関係者のインタビューの中から浮かび上がる“新たな証拠”=「新証言」を深く掘り下げ丁寧に紐解きながら、この暗殺事件がいまだ現代にも大きな影響を与え続けている歴史的な大事件であったことを、今を生きる私たちに改めて知らしめることになる衝撃のドキュメンタリーである。
このオフィシャルインタビューで監督が言っているとおり、本作が描いているのは、本来ならばジャーナリストが行うべき“取材”と、その“成果”をまとめたものだ。「陰謀論だ」と目を背けることは簡単だが、ケネディ大統領の暗殺は現在のアメリカが、世界が抱える“不安”につながる事件であったことが、本作を観れば嫌というほど分かる。それは東欧や中東で起こる紛争、また日本に暮らす我々ともまったく無関係とは言えないだろう。
「アメリカはすべてを破壊することができる大国。例えば日本の文化を破壊することも」
今年は、JFK暗殺事件が起こった1963年から60年という節目の年。事件当時、高校生だったオリヴァー・ストーン監督は、事件発生時「ニュースが語った全容をそのまま受け入れていました。でも、デイリー・プラザ(Daily Plaza)という公園で、人々が叫び声を上げている中、そんなことをやってのけられる狙撃手なんていません。また、私たちは葬儀中のジャクリーン・ケネディや子供たちの姿を見て、深く心揺さぶられました」と大きな悲劇を目の当たりにした事件を振り返る。
その後、ニューオリンズのジム・ギャリソン検事の著書『JFK-ケネディ暗殺者を追え』に出会い、そこに描かれる事実に目を奪われる。「JFK研究者たちが、長年にわたって議論を重ねて、何が論理的で、何が起こり得たのか、何が馬鹿げているか、調べたことをすべて組み合わせながら、シャーロック・ホームズやアガサ・クリスティの小説・探偵小説のように、基本的な部分の既に調べ終えていて、事件について、我々が耳にするようなナンセンスな話の多くはすでに淘汰されていた」と語る。
1991年に世界中で大ヒットを記録した『JFK』から32年。“執念”ともいえる探求心はどこから生まれるのか?「一貫して私を悩ませているのは、祖国であるアメリカの“これから”や、アメリカの“運命”」だと語るオリヴァー監督。続けて、「アメリカは間違いなくひとつの巨大な帝国。おそらく史上最大の。アメリカは世界を監視する技術も持っていて、巨大な武器も持っている。つまり、地球上に今まで存在した中で最も強力で、最も危険な帝国なんです。有史以来、存在するすべての文化を破壊することさえできてしまう、イラクでやったように。博物館も何もかも、すべてを破壊することができる大国です。例えば日本の文化を破壊することも。人類の美から生まれたすべてのもの、文化そのものを、理不尽な戦争行為は破壊してしまえます。今アメリカを走り回っている狂人たち(笑)に任せていれば、全然あり得る話」とアメリカの危機を説く。
「今後この映画よりも、説得力のあるものが出てくるとは思えません」
そして、オリヴァー・ストーン監督の『アレキサンダー』(2004年)、『ワールド・トレード・センター』(2006年)、『スノーデン』(2016年)でもプロデューサーを務めたロブ・ウィルソンは、「監督は、事件から50年目の節目となる2013年に、テレビのニュース番組のインタビューを受けたんですが、監督は、長い時間をかけて準備し1時間のインタビューを受け、使われたのがなんと1分とか30秒だったんです。この暗殺事件や新事実が不公平に扱われていると感じましたし、僕らがこの映画を作らなければ誰も作らないだろうという、強い思いが生まれました」と製作に至った経緯を明かす。
今後、本作以上の“新証言”“新事実”が公になった時続編が製作されるか? という問いに、ロブは「本作を製作する上で、法廷でほぼ証明できることだけにこだわりました。例えば写真のように、人によって見え方や解釈が異なるようなものには手を出していません。これらの文書は公開されるべきですし、出てくるべきだと思いますが、その中にこの映画よりも、説得力のあるものが出てくるとは思えません」と本作の存在に自信を見せる。またオリヴァー監督は「本来は、ジャーナリストがすべきこと。ただアメリカのジャーナリスト界は体制に逆らうことは利益にならないから、コントロールされてしまっている」と全米メディアの現状を嘆く。
また、ある事件や物事の事実であろうこと、真実であろうことを判断する際に、最も大事なことは? という問いに、オリヴァー監督は「色々なものを読むことや学ぶこと。細部や手がかりを自分なりに調べ、合点が行くか、考える。自分自身で考えることが重要。それが嫌なら、少なくとも考えている人が発信したものを読むこと。状況が複雑だからこそ、理解しようと考えることが大切だと思います。JFK暗殺事件は腐った事件です。それが世に売り込まれてしまった。その幻想に未だに付き合っているのは残念なことです。自由は、真実の内にあるのですから」と、世に溢れかえる情報を選択する方法を明かした。
最後に、「本をもっと読み、真実を語っていると自分が思う人々を信頼すること。そうすると、何が真実なのか、本能のようなものが身につくはず」と、これから見る観客に期待を込めて語った。
『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開中