1988年、一つの作品が映画史に爪痕を残した。同年「オランダ映画祭」で最優秀作品賞を受賞、そのほか世界中の映画祭で喝采を浴び、30年を経た現在でも米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で96%の高評価を獲得しているサイコロジカル・サスペンスの金字塔『ザ・バニシング -消失-』。このたび、2023年内一杯で国内上映権が消失する本作が、12月1日(金)から12月7日(木)の1週間限定で劇場公開が決定した。なお期間中は、「バニシングコーヒー」も復活提供される。
サイコロジカル・サスペンスの金字塔
本作のあまりに絶望的で魅力のあるラストは、『サイコ』(60)、『羊たちの沈黙』(91)、『セブン』(95)を超えるとの呼び声も高く、巨匠スタンリー・キューブリックが3回鑑賞し、「これまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と絶賛した凄まじい一篇。日本では、海外から遅れること31年、2019年4月12日にシネマート新宿ほかにて初の劇場公開となり、7日間連続で昼間の上映が満席となる予想外の大ヒットスタートを記録、異様な熱気が伝搬し毎回来場者が溢れてしまう事態に。鑑賞した観客からは、「普通の人が一番怖い」「トラウマになった」「淡々としながら恐怖と狂気が伝わる」と驚愕と絶賛の嵐を巻き起こし、今なおその存在感は強烈に残り、たびたびSNSなどで話題に挙がり続けている。
また、シネマート新宿限定で販売されたコラボドリンク「バニシングコーヒー」は500杯の売上を記録。本編内容にインスパイアされ、飲んでから本編を鑑賞することでとてつもない疑心暗鬼に陥るこのドリンクは、劇中そっくりの花柄の水筒から1杯ずつ注がれて提供されることも話題を集めた。
「完全に打ちのめされた」「ヒッチコックよりすごい」
ある日突然消えた恋人サスキアを捜して、執念と亡霊に取り憑かれたかのように次第に精神を追い詰められていく男・レックスと、自分の異常性と正常性を立証したいという欲求から、歪んだ“ある実験”に手を染める男・レイモン。過剰な演出を排除し、ただ静かに迫りくる異様な恐怖の正体に観る者は恐ろしくも魅了されるのだ…。
「映画史上最高のスリラーの一本。完全に打ちのめされた。(シカゴ・サンタイムズ)」「ヒッチコックよりすごい。デイリー・テレグラフ)」などと評される本作には、サスペンス映画ならではの謎解きやスリルがない。だからこそ、ただじっとりと流れる暗黙の時間に身を委ね、無情にも訪れる史上最悪のクライマックスを待つしかない。悪の限りを知りたい方、真実を知りたい方、真の絶望を味わいたい方などにもぜひ、この世から消えたい方、何かを消し去りたい方、消し去られたことのある方、消えてしまった方などにも、劇場の暗闇の中でじっくりとその行く末を確かめて堪能して頂きたい。
『ザ・バニシング -消失-』は12月1日(金)よりシネマート新宿にて公開
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