映画『ロスト・フライト』のリアリティ
現代の犯罪ツール、そういったものは全部詰め込まれている感じでしたね。この手のパニックものというか、そういうのに対してディテールが異様に細かいというのは印象的です。銃弾が車体を抜けてくる、そのリアリティ。この演出なかなか無いよなと思います。一般の乗客の人たちが「うわっ!」ってなるじゃないですか? あの感じは分かります。本当に撃ち合いが始まると普通パニックになって動けなくなっちゃったり、「ひゃー!」ってなっちゃたり。まあそういう風になるよね、と思って見ていました。
劇中のようにゲリラに出会ったら?
副機長の行動が本来、正しいですよね。全員を留めて、代表者同士で話し合うということ。話し合ってくれるタイプかどうかっていうのも、まず確かめなくてはならない。ただ、全体の様子はなるべく見ておいた方がいいかなとは思うんですよね、そういう風に捕まったりした時は。いま自分の置かれている状況はどういうところなのかって冷静に見ながら、なおかつ悪目立ちしない。
僕が面白かったのは、ゲリラ組織が金目のものを集めるとなった時に「タブレット」って言ったじゃないですか? あれが現代っぽいなあと。いやー、タブレットはお金になるもんな~と思って。
身代金ビジネスのリアル
身代金誘拐っていうのは、もう定番の犯罪なんですよ。全然珍しくないです。無理な金額をふっかけて話題にして、外の世界に自分たちの存在感を発信するタイプもあれば、妥協点がちゃんと見出せるような金額を請求して、ちゃんとビジネスとして成り立たせているところもあります。割と、どこの地域の犯罪組織もやっているかなという感じですね。
機長が犯罪者を捜索に同行させたのは何故か?
「彼を選ぶ」っていうことよりは、「彼を選ぶ、一緒に連れて行く」っていうことが周りの乗客や乗員達にとっていかにメリットがあるか、っていうことを示すことの方が大事だと思ったんですよ。「正しいかどうか」じゃないんです、「納得させられるかどうか」は、やっぱり大事になってくるかなと思って見ていました。で、十分納得させたなと思いましたね。
この作品の楽しみ方
時間幅をギュッとしてくれたんで、海外のバーとかでちょっと流れている映画な感じがして。オーディエンスはすごく好きだと思いますよね。批評家ウケとかはあまり狙わなくていいかなと。バッとビールを飲みながら観て楽しむタイプ。なんですけど、飛行機で、特にLCC とかでスマホで見た時にイヤーな気持ちになると思うので、それだけはちょっと避けた方がいいかなと思いましたけどね(笑)。
『ロスト・フライト』は2023年11月23日(木・祝)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー