「完全に理解するには2度見る必要がある」
娘の手がかりを追って現実と見紛う“世界”に踏み込んでいく主人公についてベン・アフレックは、「観客はある種の人物を想像するんだが、話が進むにつれ実像を知ることになる。俳優としてこの過程を利用し、 自分なりのビジョンを描いてふさわしく演じている」とロドリゲスが生み出した“世界”に翻弄される主人公をレイヤーに応じて演じていった。
「ロドリゲスは映画をよく理解している。この作品は多層的で、違うレベルの現実が次々と明らかになる」と公園で突然姿を消した娘、人の脳をハッキングする“絶対に捕まらない男”と彼の秘密を知る謎の占い師…とドミノのように謎が謎を呼ぶストーリーを絶賛し、「作品を完全に理解するには2度見る必要がある」と断言する。
「出演の決め手は脚本だ。意外な展開と多層的な世界が描かれ、興味深い役柄だ」と語るベン・アフレックは主演を快諾した。『アルゴ』(12)、『エア/AIR』(23)など、映画監督としても活躍するベン・アフレックは、「ロドリゲス監督は賞賛するに値し、彼に感化されることも多く一緒に仕事をしたかった。優れた監督から学ぶことを自分の使命だと考えている」と演出家として数多くの学びがあったと明かす。
『ドミノ』は、2002年にロドリゲス監督がアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』を観直したことがきっかけとなり誕生した作品だ。「ヒッチコック映画へのオマージュのような作品だ」と前置きし、「作品のコンセプト、監督の演出は、視覚効果による部分が大きい。一方でストーリー重視の古典的映画でもある」と多層的に展開する世界を圧巻の映像で描き、同時に謎が連鎖し、ドミノ崩しのようなどんでん返しが描かれるストーリーが深く掘り下げられた作品だと指摘する。
「多くの監督は何かに触発されて映画を作り始めるが、結局、他の映画と似たものを作ってしまう」と、数多くの映画監督が陥った罠を引き合いに出し、「ロドリゲス監督は才能豊かだ。彼の作品は現代的でありながらも40~50年代の傑作のようでもある。昔のスタイルを模倣しつつ音楽や映像を大胆に駆使し最新のスタイルにしている。独創的で興味深くとても楽しいやり方だ」と映画表現の様々なファクターを駆使したロドリゲスの演出術を絶賛している。
ベン・アフレックは、「日頃うちの子供たちは僕の映画は見ないが、この作品の一部を見せたんだ。すると娘は『面白い』と。最高の感想だよ。観客も同様に楽しんでほしいね」と最高の微笑みでインタビューを結んでいる。
『ドミノ』は10月27日(金)より全国公開