【『怪物の木こり』原作者・倉井眉介 コメント全文】
――完成された映画をご覧になった感想をお聞かせください。原作者というご自身の立場ならではの驚きや発見はございましたか?
僕にとって「怪物の木こり」の登場人物たちはみな自分の一部であり、分身のような存在でした。ですが、映画の中の彼らはまるで別人。同じ台詞を口にしているのに、完全に僕から独立した存在のように感じられました。それだけ役者の皆さんがキャラクターを自分のものにしていたということでしょうね。役者さんが演じるとこうも違うものかと驚かされました。
――サイコパス弁護士・二宮彰を演じられた亀梨和也さんの演技はいかがでしたでしょうか?
亀梨さんの演じる二宮は原作よりも怖カッコイイキャラクターとなっていました。ですが、作者として目を引かれたのはむしろ、それ以外のときの二宮でしたね。台詞もなく、表情に大きな変化のないシーンでさえも彼の精神状態が伝わってくるのです。それが具体的にどういったシーンなのかはネタバレになるので言えませんが、映画を観れば何のことかはわかると思います。ぜひ劇場で確認してみてください。
――撮影現場をご覧になった際の感想をお聞かせいただけますでしょうか?
僕が見学させてもらったのはクライマックスにあたるシーンでしたが、実際の現場よりも映像の中の現場が迫力があって驚きました。また、カメラが止まるたびにスタッフの方たちがきびきびと動くので、そこにもとても感心させられました。全員が自分の役割をわかっていないとできないことです。僕ならきっと三日と持たずにクビになっているでしょうね。
――最後に、倉井様の原作をお読みになった上で、今回の映画化を楽しみにされているお客様へのメッセージをお願いいたします。
実は原作と映画では結末が違っているのですが、それによって作品そのものの味わいも大きく変わっていると感じました。原作とはまた違ったベクトルで、胸にぐっとくるものがあると思います。その上セカオワさんの曲がその結末に異様にマッチしているので、エンドロールのあいだも物語の余韻に浸ることができて、これではネットに「原作よりもよかった」という感想が溢れそうで心配です(笑)。皆さん、作者を気遣った感想をお願いします。
『怪物の木こり』は2023年12月1日(金)より劇場公開