スプリンターの“親の勘”が冴える?
忍耐強く、賢く、先生であり育ての親であるスプリンターは、いわば父親的目線でいつでもタートルズのことを思っている。時には心配する気持ちが強くなりすぎることも…。ジャッキー・チェン演じるスプリンターは、当時の子ども達が憧れていた“ジャッキー・チェン像”にピッタリと重なるかのように、思いやりに溢れ、強く、そしてユーモアにあふれたキャラクターだ。映像は、そんなタートルズが自分のヒザくらいの身長だった時から、自分の子どものように育ててきたスプリンターの気持ちがわかりすぎる、ユニークながらも“親子あるある”なシーン。
暗がりの中、しのび足で家に戻ってきたタートルズたちを待ち構えていたのは、「どこに行ってた 心配したぞ!」と、心から子ども達の安否を気にしていたスプリンターだ。スーパーに買い物に行っただけなのに、帰宅が遅いタートルズたちが怖い人間世界で何かあったのでは…そんなスプリンターの親心も知らず、「ごめん」「猫がいてさ、怖くて遠回りした」と口々にその場の限りの言い訳を繰り出して去ろうとする。
この“いかにもティーンらしい行動”に、“親の勘”が働いたスプリンターは、厳しい顔をしながら「待ちなさい。買い物からすぐ戻るはずがどこ行ってた?」とスバリ問いただすと、しどろもどろになりながらも、状況に我慢できなかった真面目なレオナルドが「止めたのに、映画見るって」と正直に告白してしまう。親に嘘をつきごまかそうとした挙句、映画を観ていたことが判明したタートルズに対して、人を信用していないスプリンターは「まさか人間と映画を?」と立ち上がって驚き、落胆を隠せない。
しまいには嘘を突き通せなかったレオに対してミケランジェロが「ネズミ野郎」とうかつにも毒づき、すかさず“ネズミ”のスプリンターに「それを言うか?」と突っ込まれてしまう、という観ているほうにとっては刺激的なジョークも描かれている。
“普通のティーンエイジャー”として、彼らが住むニューヨークのみんなに愛され受け入れられたい。そんな夢を持って過ごすタートルズの願いと、人間界で危険な目にあった経験から、タートルズたちを家族として想うが故に距離を取って平穏にさせたいと願うスプリンター。それぞれの思いが交差した、コミカルでありながらも、誰もが経験したことのある“あるある”がぎゅっと詰まっている本編映像となっている。新世代カメたちの新たな冒険を、スプリンターが親としての役割と葛藤しながらも見守る姿にグッと心を掴まれる
『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』は大ヒット上映中