イーサン・ホークとの友情、ガス・ヴァン・サントとの出会い
いわゆるヒッピー的な暮らしをしていた家族のもと、幼少期から演技の道に入ったリヴァー。弟ホアキンは言わずもがな、妹のレインやサマーも俳優として活動していて、サマーはケイシー・アフレックとの間に2子をもうけた。
映画デビュー作『エクスプロラーズ』(1985年)で共演したイーサン・ホークは同い年で、その友情はリヴァーが亡くなるまで続いたそうだ。のちにイーサンは、彼の衝撃的な死が“ハリウッドに飲み込まれないように”という自身の活動指針に影響を与えたと明かしている。
ご存知『スタンド・バイ・ミー』(1986年)で世界的な評価を得たリヴァーはプロモーションで来日を果たし、日本のお茶の間でも絶大な人気を集めた。アラフォー~アラフィフ世代ならば、映画出演時よりもだいぶ成長した彼がバラエティ番組にゲスト出演したことを記憶しているだろう。
Rare magazine clippings of River Phoenix in Japan, 1987 pic.twitter.com/Up1IM9UkWy
— The River Phoenix Gallery (@phoenixsgallery) January 8, 2022
誰が喧伝するでもなく“今世紀最大のスター俳優”という期待を集めた若者の、著しい成長を作品毎に確認することができた当時の映画ファンは幸せだった。ぐっと大人びた姿を見せた『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989年)、キアヌとの初共演作で陽性のコメディ演技に開眼した『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』(1990年)、演技観が180度変わったというガス・ヴァン・サント監督作『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)など、それぞれ全く違うリヴァーがそこにいた。
そんなリヴァーが『スタンド・バイ・ミー』の翌年に出演したのが、青春喜劇『ジミー/さよならのキスもしてくれない』(1987年)。すでに世界的な評価を得ていたリヴァーだけに、とくに後追いファンの間では賛否が分かれた作品でもある。
思春期まっ只中の初主演作『ジミー/さよならのキスもしてくれない』
まだ幼さが残るリヴァーが演じるのは、高校卒業後の進路に悩む主人公ジミー。あるヘマをしたことで進学資金を失ったジミーは父親にブチ切れられ、地元で就職するか父の母校に進むかという究極の2択を突きつけられる。そこでジミーはハワイに進学する恋人リサにくっついていこうと画策するが、そんな状況でも煩悩(主に性欲)には抗えず……。
撮影時のリヴァーは14~15歳と思われるが、だいぶ幼く見える。ゆえに性に奔放な少年を演じていることに違和感を感じてしまうかも。青春ドラマならではの多感な主人公だとしても看過できないほどのチャラさは因果応報すぎて感情移入が難しいが、そんなリヴァーが見られるという点でレア度は高い。
リヴァー自身の評価がすこぶる低いことでも知られている本作だが、この数年後には『~アイダホ』などのインディーズ作品に傾倒していくことを考えれば納得だ。それでも、ハリソン・フォードやヘレン・ミレンと堂々競演した『モスキート・コースト』(1986年)や『スタンド・バイ・ミー』の衝撃から、シドニー・ルメット監督の名作『旅立ちの時』(1988年)に至る過渡期のリヴァーが見られる、わずか14本のうちの1本として、ファンでなくとも観ておきたい作品である。
ちなみに、人気ドラマ『フレンズ』(1994~2004年)のチャンドラーことマシュー・ペリーも出演しているのでお見逃しなく。
『ジミー/さよならのキスもしてくれない』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年10月放送
『ジミー/さよならのキスもしてくれない』
シカゴ郊外に暮らすジミーは17歳の多感な高校生。卒業を間近に控えたある日、父親が突然、自分の母校へ進学しろと強制してくる。反発するジミーは、ハワイの大学へ進学することになっている恋人のリサとハワイに行こうと決意。そのためのお金を手に入れようと画策する。
監督・脚本:ウィリアム・リチャート
出演:リヴァー・フェニックス
メレディス・サレンジャー ポール・コスロ
制作年: | 1987 |
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CS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年10月放送