これぞ「スーパーマリオ」映画
ビニールタッキー(おもしろ映画宣伝ウォッチャー)
当時子どもだった自分がなぜこの映画に惹かれたのか。荒廃した地下都市にサイバーパンクな住民と恐竜頭の兵士たち、常に火花を散らすモンスターカーと町中に蔓延るネバネバした粘菌。明るく楽しいゲームのスーパーマリオとは似ても似つかぬその奇しくもオトナな世界観にたまらなく惹かれてしまったのだ!ヨッシーもハイジャンプもスーパースコープも何か違うけどこれがハリウッドなんだ!卵から生まれた鳥が初めて見たものを親と認識するように、自分にとってはこれこそスーパーマリオの映画なんだ!
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
マリオワールドを実写化するという映像表現における大きな困難に立ち向かい、見事に胸踊るビジュアルと世界観を作り上げた。本作に対する世間の評価は決して良くなかった。でも私は、お世辞抜きに名作だと思う。見た目に違いがあっても、目にした時のワクワク感はオリジナルと一緒。情報量が圧倒的に増えた結果ド迫力の姿になったヨッシーも、ガチの菌糸を張り巡らせるキノコも、唯一そのまんまなボム兵も、画面に映る全てが愛おしい。改めて観たら、やっぱりメチャクチャ面白かったよ!!!
吉田伊知郎(映画評論家)
30 年前の夏、『ジュラシック・パーク』よりも、『ラスト・アクション・ヒーロー』よりも、観たかったのは『スーパーマリオ』だった!! 当時の技術で映画化不可能なことは中学生でもわかっていただけに、キャラクターを借りて換骨奪胎した実写マリオは、今で言うところの「マルチバースなんだから、別にいいじゃん!」と最初に思えた映画だった。全身全霊でクッパを怪演したデニス・ホッパーを初めて観たのもこの映画。翌年公開された『トゥルー・ロマンス』『スピード』は、ホッパーのクッパみたいな演技がまた観たいから劇場へ走った。1本の映画のある演技と出会うだけで、観たい映画が広がっていく。そんな体験を 30 年後の観客にも味わって欲しい。
福山幸司(ゲームライター)
若者よ、これが平成のマリオだ。火炎放射器を使うクッパ、リアル恐竜のヨッシー、頭から離れないキノピオの歌声、AI のように緻密に動作するボム兵……。洪水のように押し寄せる予想不可能な解釈とハチャメチャな展開。当時の最先端SFXと『ブレードランナー』スタッフが担当した凝りまくった美術。マリオとルイージの絆、デイジーの可憐さ、家族と一緒に楽しめる安心感。そして今だからこそわかるマリオへの深い敬愛…(泣)。平成から令和へ、時代がついに『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』に追いついた。もはや失敗作なんて呼ばせない。これはマリオの世界を新たな次元で描ききった傑作だったんだ。
渡邉卓也(ゲームライター)
悲しいことに『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は「過去のひどいゲーム映画化作品」として取り上げられやすい作品だ。ガチの恐竜すぎるヨッシー、あまりにも不気味なクリボーなど、確かに妙なところは多い。しかし、「1993 年の挑戦」と捉えれば見え方は変わってくる。このときはまだスーパーファミコンの時代であり、ドット絵が主流だった。当然、ゲームの実写映画化に関するノウハウもほぼない。そこから想像力を働かせ、狭すぎる道を走るイカした車、多様にもほどがある地下の住人たち、サイバーパンクな店が並ぶ景色が生まれていった。そう、先人たちが暗中模索で作り上げた実写化作品だからこそ、ダーク小汚くも美しいこの魔界帝国が生まれたのだ。
kikai(ライター、マリオ専門家|マリオグッズ所有量ギネス記録保持)
皆さんは『スーパーマリオ』と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?キノコの世界で、クリボーやクッパという敵がいて、ファイアボールで攻撃して…。もちろん、この映画にも全部あります。でも、キノコはネバネバだし、クッパは人間の姿だし、クリボーは恐竜だし、ファイア攻撃はガンだし……え、これって本当に『マリオ』なの!?ハリウッド制作の実写映画は、本作にしかない衝撃と刺激がいっぱい!ブルックリンで配管工を営むマリオブラザーズが繰り広げる“もう 1 つ”の冒険記、是非ご覧ください。
ロジー(ライター、YouTube チャンネル「ロジー&マリオファンの集い」運営)
今尚マリオファンの間で語り継がれる伝説の実写映画「魔界帝国の女神」。登場するのは超リアルなヨッシーに、とんでもない姿のクッパ!更には肩幅が広すぎるグンバ(クリボー)に、クッパ批判で捕まるトード(キノピオ)!マリオだけどマリオじゃない!?マリオじゃないけどマリオ!?そんなとんでもない設定やビジュアルに、マリオファンはニヤニヤが堪えられない!そして迫力のアクションシーンや、先が気になる展開からも目が離せない!色々な意味でインパクトありまくりな別次元のスーパーマリオ作品。観たら最後、絶対話題にしたくなります。
倉島一幸(ゲームグラフィックデザイナー 「スーパーマリオ RPG」モンスターデザイン、キャラクター監修 ほか)
この映画は、私の人生でトップ 3 に入るトラウマ映画です。幼少期にファミコンのスーパーマリオブラザーズにドはまりし、それ以降ゲーム漬けの日々。キャラクター絵を模写しまくり、ダンジョンMAP描きまくり、気づいたらゲームを作る側に回っていました。大人になり、スクウェアというゲーム会社にグラフィックデザイナーとして就職しました。そんな時、ゲーム雑誌で見つけた記事にテンション爆上がり!大好きなマリオがなんとハリウッドで映画化!もちろん公開初日に劇場へ B ダッシュしました。ワクワクが止まらない若き日の私。しかし、スクリーン上は私の求めていたマリオ世界とはかけ離れた独自路線の米国アクションSF映画だった。まだネットが普及していない時代だったので前情報ゼロ。思い描いていたマリオ世界とのギャップで観賞後、後頭部を亀の甲羅でド突かれた様な衝撃を受け、公園のベンチで一人うなだれていました。数年後、「スーパーマリオ RPG」というゲームに参加する事になり、友人宅でビデオ版のマリオ映画をもう一度鑑賞しました。改めて観た映画版マリオは、独特の世界と空気感と新鮮さ。あれ?!前に観た時と何かちがう気がする。強烈なインパクトのキャラクターデザイン、80年代の香りプンプンな手作り感満載の SFX。劇場初日に観たショックとは真逆の好印象ムービーになっていた。ゲームのマリオとは完全に別モノだが、これはこれで面白い。多少大人になったからでしょうか、少しアルコールが入っていたからでしょうか、許容範囲が広がってこのフォルムのヨッシーも有りかもな、落ち着いて観たらデニス・クッパの演技やメイクも有りかもな。いや、あり、あり。トンデモ映画と記憶にフタをしていたが、意外にもアリな映画だったのだ。ちょっとだけトラウマは解消されたのです。なんだか少しだけ気が楽になった気がした。そのおかげか、つぎのお仕事「スーパーマリオ RPG」のデザイン作業は肩の力を抜いて取り組む事が出来ました。(たぶん)※映画版クリボーは夢にちょくちょく現れ、しばらくの間うなされました。
今村孝矢(ゲームクリエイター 「F-ZERO」「スターフォックス」ほか 元任天堂社員)
初めてこの映画のキャストを知った時、異様に興奮した事をよく覚えている。映画オタクの私は「ボブ・ホスキンスほどマリオにピッタリな役者は他に思い付かない!しかもクッパ役がデニス・ホッパーだと!?信じられない!」と期待に胸を膨らませていた。そしてみんなで試写会に臨んだのだが、大御所俳優がマリオやクッパを熱演している姿を見て私は涙腺が緩んでしまった。鑑賞後、一緒に観たスタッフ達とツッコミを入れながらも笑顔のアフタートークで大いに盛り上がったのも良い思い出で、大ヒットした「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を体験した人が次に鑑賞すべき映画の決定版が「スーパーマリオ・魔界帝国の女神」だと思う。是非みんなで鑑賞して盛り上がって欲しい。個人的にだが、願わくば実写版の新作もぜひ観てみたい。マリオ役はジャック・ブラックで!
溝部拓郎(ゲームクリエイター 株式会社ポケットペア 代表取締役社長(「クラフトピア」「AI アートインポスター」ほか)
映画を視聴すると、この 30 年間でマリオという作品がどのように変化してきたのかが良く理解できる。現在公開中の「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」とは、同じ原作とは思えないほど違いがあるが、一方で、同じ原作ならではの共通点もあり、改めて視聴すると興味深い点がいくつもある。アニメーション版の映画を見た人なら、同じブルックリンから始まる配管工の全く異なる冒険活劇を、笑いながら楽しむことが出来るだろう。
▼新規編集パンフレット発売決定
<CONTENTS>
スペシャル・インタビュー①:坂上直行氏(日本初公開時宣伝担当)
スペシャル・インタビュー②:浜村弘一氏(元ファミ通編集長)
解説:てらさわホーク氏 ほか
上映各劇場で販売 定価800円(税込)A4刷24P
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神 4Kレストア版』は2023年9月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー