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パナヒにしか解決できない、事件とは?
映像は、パナヒ監督演じる主人公が滞在している宿に村人たちが訪ねてくるシーン。村人のひとりが神妙な面持ちで「村の写真を撮っておられたかな?」と尋ねる場面から始まる。パナヒが写真を撮ったことをすぐに認めると、「実は厄介な問題になって、あんたにしか解決できん」とその村人は訴え、村に古くから伝わるという、ある“しきたり”をパナヒに聞かせる。それは、“女の赤ん坊のへその緒は、未来の夫を決めてから切る”という奇妙な風習。ゴザルという村の娘をめぐり、“へその緒の契”によって決められていた許嫁ヤグーブと恋人ソルドゥーズとの間で三角関係になっているのだという。
そこで、しきたりを破り、逢瀬を楽しむゴザルと恋人ソルドゥーズの証拠写真をパナヒが撮っているのではないかと村人たちは騒いでいるのだ。しきたりに縛られ、愛し合う恋人同士を別れさせようと必死な村人たちと、よくわからない風習に振り回される村の青年にまつわる話を、硬い表情で聞くパナヒ。
小さないざこざに思えるこの出来事が、パナヒを巻き込み大きな事件になっていく。最初は皆笑顔だったが、いつしか気まずい雰囲気が漂いだし、この先の展開が気になる場面だ。
『熊は、いない』は9月15日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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