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世の中の根深い社会問題を浮き彫りにする骨太映画たち
世界三大映画祭ほか主要映画祭にて高く評価され続け、イラン政府に映画制作を禁じられながらも圧力に屈せず映画撮影を続けるジャファル・パナヒの最新作『熊は、いない』が、2023年9月15日(金)より全国順次公開となる。
世の中には私たちが知るべきことが山ほどあり、それらを学ぶ機会の一つとして映画がある。ということで、常にイランの厳しい現実を世界へ伝え続けてきたパナヒ監督待望の新作『熊は、いない』と併せて、根深い社会問題を浮き彫りにする“社会派映画”5作品を紹介したい。
ヴェネチア国際映画祭 審査員特別賞『熊は、いない』
イラン政府に映画政府を禁じられながらも圧力に屈せず映画撮影を続けるジャファル・パナヒ監督の最新作。リモートで極秘に映画撮影をする映画監督が、撮影で訪れていた小さな村で起きたあるトラブルに、監督自身が巻き込まれていくストーリー。
パナヒ自らが映画監督役として主演をつとめ、監督を軸に迷信や圧力、社会的な力関係によって妨げられる2組のカップルに起きる想像を絶する運命を描いている。事実と虚構を織り交ぜ、規律が厳しいイランだからこその隠喩がそこかしこに散りばめられた、フィクションとノンフィクションのハイブリッド作品だ。
2つの物語から浮かび上がるのは、女性蔑視や宗教的な原理主義など、イランを襲っている暴動の現状。当然の自由を求める者と、規律を保守する側の軋轢だ。完成後、パナヒ監督はイラン政府に再び拘束されるも、本作は見事ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞した。
9月15日公開 監督:ジャファル・パナヒ
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