早くもアカデミー賞有力候補か
毎年、アカデミー賞などの映画賞を賑わせるほど上質な作品が生まれる“Netflix映画”。2022年は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でジェーン・カンピオン監督が監督賞を受賞、2023年は『西部戦線異状なし』が国際映画賞など4部門受賞、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』が長編アニメーション賞を受賞…など、枚挙に暇がない。
『マエストロ:その音楽と愛と』
ブラッドリー・クーパー(『世界にひとつのプレイブック』『アメリカン・スナイパー』「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのロケット役)が『アリー/スター誕生』に続き、監督・脚本・主演を務める本作。プロデューサーには、巨匠マーティン・スコセッシやスティーヴン・スピルバーグを迎え、キャストには、キャリー・マリガン(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)、マット・ボマー(『ホワイトカラー』)、マヤ・ホーク(『ストレンジャー・シングス 未知の世界』)らが名を連ねるハリウッドの渾身作だ。
『ウエスト・サイド物語』の音楽を手掛けるなど世界的に知られた指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインと、女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインが共に歩んだ生涯を振り返る、大胆で情熱的な“愛の巨編”。
バーンスタインの楽曲が奏でられる予告編では、2人が恋に落ち、語らい、あらゆることを経験し、共に過ごしてきた時間を優しく叙情的に映し出している。背中合わせで交わす何気ない会話をはじめとするかけがえのない瞬間を、雄大で美しい“音楽“とともに描く“愛”の物語に、今から思いを馳せたい。
12月8日(金)より日本の一部劇場での公開も予定している本作は、8月30日から開幕した「第80回ベネチア国際映画祭」コンペティション部門出品作であり、本年度の映画賞を席捲することも期待される。
『ザ・キラー』
本作は、『セブン』『ファイト・クラブ』『ゴーン・ガール』『Mank/マンク』の鬼才デヴィッド・フィンチャーが監督を務めるサイコサスペンス・スリラー。主人公の暗殺者役は、『それでも夜は明ける』など演技派として名を馳せ、『X-MEN』のマグニートー役などでも知られるマイケル・ファスベンダーが怪演を魅せる。
とある“ニアミス”により岐路に立たされた暗殺者が、雇い主や自分自身にさえ抗いながら、世界を舞台に繰り広げる追跡劇。映像では、まるで観る者すら“洗脳”するかの如く、“暗殺者の掟”のような冷酷で無機質な言葉が綴られ続けている——「計画通りにやれ」「誰も信じるな」「感情移入はするな」「予測しろ 即興はよせ」「決して優位に立たせるな」「対価に見合う戦いにだけ挑め」。同時に映し出されるのは、ファスベンダー演じる暗殺者の残酷ながらスマートな殺人遂行の過程…。薄氷を踏むような緊迫感だらけのシーンが連続し、フィンチャー監督の本領発揮が見て取れる。
10月27日(金)より日本の一部劇場での公開も予定している本作は、8月30日から開幕した「第80回ベネチア国際映画祭」コンペティション部門出品作であり、本年度の映画賞受賞にも期待高まる。
『Fair Play/フェアプレー』
フィービー・ディネヴァー(『ブリジャートン家』)、オールデン・エアエンライク(『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』)、エディ・マーサン(『キャッシュトラック』)らをキャストに迎える本作は、競争の過酷なヘッジファンドで働く若いカップルに訪れた思いがけない昇進をきっかけに、エゴと野心に溺れた男女を描き出す愛憎サスペンス。
同じ会社で働き、実は恋人同士のエミリーとルークは、将来を見据えて婚約し、仕事もプライベートも順風満帆な日々を送っていた。しかし、二人が勤める会社の人間なら誰しも欲しがる昇進の話が持ち上がり、その候補にエミリーのみが選ばれ二人の関係にも不穏な空気が漂い始める—。
映像では、普段通りの恋人関係を続けようとする一方で、エミリーが出世コースに乗ったことで2人のパワーバランスが修復不可能になるほどまでに、めまぐるしく変化する様子を映し出している。成功がもたらす真の代償を知り、野心が招く恐ろしい限界に直面した二人が迎える結末とは—?
9月29日(金)より日本の一部劇場での公開も予定している本作は、クエンティン・タランティーノやデイミアン・チャゼルらを輩出した世界最大のインディペンデント映画祭として知られる「サンダンス映画祭」でも絶賛された。
『ナイアド ~その決意は海を越える~』
本作は、アカデミー賞に4度のノミネート歴を誇るアネット・ベニング(『アメリカン・ビューティー』『20センチュリー・ウーマン』)と、2度のアカデミー賞受賞を誇るジョディ・フォスター(『タクシードライバー』『羊たちの沈黙』)が出演する、マラソンスイマーのダイアナ・ナイアドの人生を描く心揺さぶる感動の実話。
マラソンスイマーを引退して約30年、60歳のナイアドは、長年目を逸らしてきたことに再び挑戦したいという思いが頭から離れない。それは、“水泳界のエベレスト”と呼ばれるフロリダ海峡を横断する危険な海の旅。世界初の称号を勝ち取るべく、サメよけのケージを使わず泳ぎきるという決意をしたダイアナは、親友でありコーチでもあるボニーらと共に、4年におよぶ波乱に満ちた旅に乗り出す—。10月20日(金)より日本の一部劇場での公開も予定だ。
愛のドラマ、サイコサスペンス・スリラー、愛憎渦巻くサスペンス、夢と友情溢れるストーリー……あらゆるジャンルで生み出されるNetflix映画に、本年度はこれまで以上に注目が集まりそうだ。