クエンティン・タランティーノ、28歳
『レザボア・ドッグス』は1992年サンダンス映画祭で初めて上映され、過去に類を見ない斬新な構成と過激なバイオレンス描写が注目の的となり圧倒的な絶賛を受けた。その後絶賛の声は衝撃と共に世界中に広まり、カナダのトロント、スウェーデンのストックホルム、スペインのシチェスと映画祭に出品される度に注目を浴び、世界各国で最優秀賞やグランプリなど数々の賞を受賞。なかでもフランスのカンヌ国際映画祭では、上映前からポスターやチケットに貼られた「心臓の弱い方はご遠慮ください」というステッカーが否応なしに目を引き、いざ上映されると途中退場の観客が続出すると同時に、最大の話題をさらった。
本作の監督はクエンティン・タランティーノ。今では誰もが知るアカデミー賞受賞監督となった彼だが、本作制作時は若干28歳、脚本を数本執筆しただけ、全く監督への道筋は見えていなかった。しかし、『レザボア・ドッグス』はその状況を一変させる。本作の凄まじい脚本に感銘を受けた、のちの盟友ローレンス・ベンダーと『断絶』(1971年)で知られる巨匠モンテ・ヘルマンが製作に名乗りを挙げ、主演のハーヴェイ・カイテルは出演のみならず、資金面やキャスティングを援助。ティム・ロス、マイケル・マドセン、スティーヴ・ブシェミら強烈な個性派俳優たちが出演を快諾し、あっと言う間に“掃き溜めの犬たち”が結成されることとなった。
そして無名だったタランティーノの念願のデビュー作には、監督のすべてが込められている。時間軸を超えた展開、ストーリーとは関係のない長回しの会話など、タランティーノ映画と謳われる唯一無二のオリジナリティはこの時すでに完成されている。
今回解禁された特報では、その代名詞ともいえるオープニングシーンを公開。黒スーツに身を包んだクールなメインキャラクターたち、その後ろで流れるジョージ・ベイカーの「リトル・グリーン・バッグ」は、本作を未見でも耳にしたことがあるはずだ。
本作の日本初公開は1993年4月24日。30年経った今でも、映画史に燦然と輝き、熱狂的に支持され、新たなファンを生み出し続けているクライム・バイオレンスの最高傑作。待望の劇場再公開は、2022年に完成したばかりのデジタルリマスター版となる。
『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』は2024年1月5日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開