爆速配信中『ザ・フラッシュ』感涙トリビア! 31年ぶり復活マイケル・キートンのバットマンやスーパーガール“だけじゃない”【ネタバレ御免】

マルチバースで映し出される過去の『スーパーマン』『スーパーガール』たち
二人のバリー・アレンとバットマンは、時空が歪んだことで蘇ったゾッド将軍を倒すため、ソ連に拉致されていたカーラ=スーパーガールを救出して、ともに死闘を繰り広げるのだが、思い描いた通りの結果を得られず、そのたびにバリーは時空を超えて元の時間に戻ることを繰り返す。それはあたかもテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)の第10話で、暁美ほむらが実は鹿目まどかが殺されずに済む結末を得るために何度も何度も同じ時間を繰り返していた時間遡行者であった事実が示された伝説のエピソードをほうふつとさせる。

『ザ・フラッシュ』©︎2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved ©︎& TM DC
さらに言えば、DCコミックものの映画化作品の原点ともいえる『スーパーマン』(1978年)で、クリストファー・リーヴ演じるクラーク・ケント=スーパーマンが、想いを寄せる同僚のロイス・レーン(マーゴット・キダー)の運命を変えるために時間遡行を試みたことを踏まえての展開であることは間違いないだろう。クリストファー・リーヴ版の『スーパーマン』は意外とセンチメンタルだったのだ。
さて、何度も時空を遡る過程で、バリーはさまざまなマルチバースでこれまでに闘ってきたヒーローたちの存在した世界を垣間見る。――クリストファー・リーヴ版の『スーパーマン』シリーズを見ていた世代のファンが、今回のスーパーガールは黒髪でクールだけど、以前の『スーパーガール』(1984年)のヘレン・スレイターも金髪で可愛かったなあ……などと思いながら見ていると、なんとそのヘレン・スレイターと今は亡きクリストファー・リーヴが、二人並んでスーパーガール&スーパーマンとして競演するという史上初めて映像が、バリーの垣間見るマルチバースの一つとして出てくるではないか!
なるほど、アーカイブス映像をこんな風にしてコンピュータ合成すれば、夢の競演も出来るのだなあ、と改めて映画の可能性に感じ入った。
幻に終わったニコラス・ケイジ版『スーパーマン』が遂に映像化されたことの意味
ところが、それだけでは終わらないのが『ザ・フラッシュ』のとんでもないところ。さらに別のマルチバースの中では、なんとニコラス・ケイジ扮するスーパーマンが巨大蜘蛛と戦っているではないか!
これは知る人ぞ知る、1998年にティム・バートン監督が製作しようとして頓挫した幻の映画のシーンなのだ。結果的にニコラス・ケイジ版『スーパーマン』(原題「Superman Lives」)は製作されることなく終わったのだったが、まさかこんな形でその映像をバーチャルに見ることができるとはファンは思ってもいなかったはずで、しかも、その時のケビン・スミスの脚本通りに巨大蜘蛛と戦うシーンなのだから、なおさらだ。
ケイジは本作のために実際にスーツを着て撮影したそうだが、例えばダニエル・クレイグ降板後の『007』シリーズの新作で、アーカイブス映像をコンピュータ合成して若いころのショーン・コネリーにジェームズ・ボンドを演じてもらう、なんてことも可能だろう。映画ファンとしては、わくわくすると同時に、なんだか空恐ろしいような、不思議な感覚を味わうことになるが、映画はこれからどういう方向に進んでいくのか、その未来をちょっと垣間見たような気持になること請け合いだ。
文:谷川建司
『ザ・フラッシュ』はU-NEXTほか超爆速プレミア配信中
『スーパーマン』『スーパーマンII 冒険編』『スーパーマンIII 電子の要塞』『スーパーマンIV 最強の敵』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年8月放送
『スーパーマン』『スーパーマンII 冒険編』『スーパーマンIII 電子の要塞』『スーパーマンIV 最強の敵』
CS映画専門チャンネル ムービープラス「スーパーマン イッキ観!」で2023年8月放送
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』
CS映画専門チャンネル ムービープラス「バック・トゥ・ザ・フューチャー イッキ観!」で2023年8月放送