アンソニー・C・フェランテ監督のB級ど真ん中キャリア
フェランテ監督は“ホラー畑”の出身で、過去には『案山子男』シリーズ(2002年/2004年)にも携わっており、同作には製作スタッフとしてだけではなく、キャストとして出演もしています。
そして、着実にステップアップして何本かのホラー映画を監督した後、アサイラム製作の『ヘンゼルとグレーテル おそろし森の魔女』を手掛けて驚かせてくれました。同作は当時のアサイラム作品のレベルとしては傑出した存在で、“しっかりとした映像”の“ちゃんとしたホラー”に仕上がっていたのです。
『シャークネード』はアサイラム作品として考えると、スタッフやエキストラを含めた出演者が異例的に多く携わっている作品でしたが、フェランテ監督の実力を見越して起用されたのだろうと納得できました。
『シャークネード』以降も、『シャークストーム』(2022年)では脚本として参加するほか、『ゾンビ津波』(2019年)や『Butch Cassidy and the Wild Bunch』(2023年:日本未リリース)などの作品では監督として活躍をしています。
名作オマージュ満載!『シャークネード』をさらに楽しむためのトリビア
『シャークネード』シリーズはテンポの良い展開とインパクト充分な映像、そして概ね90分という集中力を保てる適切な時間で、きっとストレートに観ても満足いただけることでしょう。しかし細部に注目して観れば、さらに楽しいものがたくさん詰まっています。
わかりやすいところでは、メジャー作品のオマージュ。サメにボンベを噛ませて銃で爆破させたり(『ジョーズ』[1975年])、下水道にワニがいたり(『アリゲーター』[1980年])、宇宙でビームチェーンソーで戦ったり(『スター・ウォーズ』[1977年])……こんなのは序の口で、実に数多くのオマージュが含まれています。
ちなみにシリーズ1~4作目までの脚本はサンダー・レヴィンが担当し、5~6はレヴィンよりも若いスコッティ・ミューレンに代わっています。偶然かもしれませんがシリーズも5~6作目になると、『ミッション・インポッシブル』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など、オマージュ対象となる作品にも練度を感じさせるようになっているのも興味深いところです。
『シャークネード』シリーズの主なオマージュ
▼『シャークネード』
『ジョーズ』
▼『シャークネード カテゴリー2』
『フライングハイ』、『アリゲーター』など
▼『シャークネード エクストリーム・ミッション』
『ジョーズ』、『スター・ウォーズ』など
▼『シャークネード4(フォース)』
『スター・ウォーズ』、『スタートレック』、『オズの魔法使い』、『クリスティーン』など
▼『シャークネード ワールド・タイフーン』
『ミッション・インポッシブル』、『インディ・ジョーンズ』、『ハロウィンⅢ』、『モンティ・パイソン』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など
▼『シャークネード ラスト・チェーンソー』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『原始家族フリントストーン』、『ビバリーヒルズ高校白書』、『ゴーストハンターズ』など