「『スターシップ・トゥルーパーズ』にオマージュを捧げているよ」
―さて、映画の話に戻りましょう。キャストで目を引くのはキャスパー・ヴァン・ディーンです。彼はバキバキのアメリカ俳優ですが、抜擢の理由は?
ヨハネス:キャスティングはイギリス在住のスタッフに頼んだんだ。僕たちのオーダーは「アメリカ人で名前が売れていて、だけど今の僕たちでも雇える。つまり昔、活躍した役者。ただしイケメンに限る」だった(笑)。ほぼ名指しみたいなものだよね。そこで提案されたのがキャスパーだったというわけさ。
彼の代表作『スターシップ・トゥルーパーズ』も大好きな映画だったし、彼におバカな悪役をやらせたら最高だろうなと。キャスパーも脚本をすぐに気に入ってくれて、二つ返事でOKだった。映画のデキにも満足してくれていて、今でも熱心に宣伝してくれてるよ。
―『スターシップ・トゥルーパーズ』の話が出たので伺います。劇中の“密告CM”シーンで、キャラクターたちが口にする「私はやるべきことをやっている(I’m doing my part)」は、『スターシップ・トゥルーパーズ』のオマージュですか?
サンドロ:うん(笑)。それに『スターシップ・トゥルーパーズ』は軍事政権や、弱者を咎める独裁政権を批判する映画だよね? その部分でも『マッド・ハイジ』はオマージュを捧げているよ。
「I’m doing my part」だけど、実はキャスティングが決定する前から台詞としてあったので偶然なんだ。でも、そう考えるとキャスパーが大統領役に選ばれたのは運命だったんだろうね(笑)。
―ハイジ役のアリス・ルーシーさんやクララ役のアルマル・G・佐藤さんは、出演にあたって特別な訓練はされましたか?
ヨハネス:もちろん。でも、クランクイン前に2週間しか時間がとれなかった。ハリウッドなら数ヶ月はかけられるんだけど、僕たちはそうはいかないからね。だから格闘技の訓練ではなく、あくまで振り付けを覚えてもらう形になった。撮影中、ずっと覚えなければならないから、彼女たちは大変だったと思う。
サンドロ:僕たちにとってもチャレンジだった。でも「できるんだ!」と撮影を通して思ったよ。彼女たちは本当に、僕たちの誇りだよ!!
―最後に一つだけ、確認です。ヨーゼフは無事ですか?
ヨハネス&サンドロ:(笑)。ヨーゼフ役の犬はもちろん無事だけど……映画ではどうかな!?
『マッド・ハイジ』は2023年7月14日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開
『マッド・ハイジ』
チーズ製造会社のワンマン社長にしてスイス大統領でもある強欲なマイリは、自社製品以外のすべてのチーズを禁止する法律を制定。スイス全土を掌握し、恐怖の独裁者として君臨した。それから20年後。アルプスに暮らす年頃のハイジだったが、恋人のペーターが禁制のヤギのチーズを闇で売りさばき、見せしめにハイジの眼前で処刑されてしまう。さらに唯一の身寄りであるおじいさんまでもマイリの手下に山小屋ごと包囲されて爆死。愛するペーターと家族を失ったハイジは、邪悪な独裁者を血祭りにあげ、母国を開放することができるのか!?
監督: ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタイン
出演:アリス・ルーシー マックス・ルドリンガー
キャスパー・ヴァン・ディーン デヴィッド・スコフィールド
アルマル・G・佐藤
制作年: | 2022 |
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2023年7月14日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開