初見殺し?『K.G.F』の「3つのハードル」とは
あとは、山のように出てくるマフィアのボスたちの顔を識別するだけでも、相当に疲れることを覚悟しておかねばならない。劇場用パンフレットには顔認証ができるよう、写真とイラストでキャラクターが示されているのだが、初見で全キャラクターを把握するのは、まず無理と言っておこう。
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— 【公式】映画『K.G.F:CHAPTER 1&2』 (@_KGFmovie) July 6, 2023
公開が待ち遠しい本作の
相関図を公開👀‼️
イラスト:moto
これを見れば映画の予習はバッチリ💥
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じゃあどうする『K.G.F』、なのだが、できれば『1』を一度見て、パンフレットの助けを借りて全員を把握し、それから『1』をもう一度見、そして『2』を見るのである。そうすれば、あなたはこの映画の世界に取り込まれて、「ロッキー兄貴!」と彼のもとに駆けつけたくなるだろう。
さらに、実はこの映画にはまだハードルが2つある。1つ目は、この映画が入れ子構造になっていることだ。
映画の始まりは2018年、今日のベンガルールのテレビ局<24 NEWS>からとなる。局長が人気キャスターの女性を説得し、尋ねてくる老ジャーナリスト(アナント・ナーグ)の話を聞くように仕向ける。その老ジャーナリストは若い頃『K.G.F』のことをずっと追っていて、本も出版したのだが、政府の命令でその本は禁書となり、すべて焼却処分された。だが、1冊だけ焼け残っていた本を手に、著者である老ジャーナリストは『K.G.F』の秘話を語り出すのである。
この外枠は随所に出てきて、老ジャーナリストの語りで物語を進行させていく。そして『2』では老ジャーナリストが病気で倒れ、彼の息子(プラカーシュ・ラージ)があとを引き継いで語る。この入れ子構造を、当初私はあまりにも煩雑に思い、「紙芝居映画」と文句を言ったのだが、そこには監督プラシャーント・ニールの計算があったのだった。
2つ目は、入れ子構造の中身だ。1951年から1978年を経て1981年に至る部分は、非常にスタイリッシュな映像処理がなされている。クロスカッティングの手法で2カ所、あるいは3カ所の物語進行を同時に見せ、さらにそれらのカットを細かく割って重ね合わせるという、何と呼ぶのかわからない手法が頻繁に使ってあるのである。それは魔力のように作用して、見る者を酔わせる。時には、さっきは何を見たんだっけ、と混迷の中に入り込んでしまうのだが、それを入れ子構造の外枠が整理してくれるのである。
『K.G.F:Chapter1&2』
CHAPTER1:最強のマフィアに成り上がる!
1951年、スーリヤワルダンはコーラーラ近郊で金鉱(KGF)を発見。全てを一族で管理して巨万の富を築くいっぽうで、労働者は外部から遮断され奴隷のように働かされていた。
同じ年にスラム街でひとりの少年が生まれる。少年は唯一の身内であった母を10歳のときに亡くし、生き残るためにマフィアの下で働き始める。ロッキーと名乗った少年は、マフィアの世界でのし上がっていく。やがて最強のマフィアとなったロッキーは、ボスからKGFの支配者であるスーリヤワルダンの息子を暗殺するよう指令を受けるのだが…。
CHAPTER2:全ては俺が奪い取る!
KGFを支配下に置いたロッキーは、新たな金鉱を発見し事業を拡大していく。しかし一方で、死んだと思われていたスーリヤワルダンの弟アディーラが現れ、KGF奪還を目指し勢力を束ねていた。そしてロッキーの唯一の弱点である恋人リナをさらい人質とする。リナ救出に向かったロッキーは、アディーラに撃たれ瀕死の重傷を負う。そしてアディーラは金輸出を妨害してKGFを孤立させ、ロッキーの同盟者をせん滅していく。
最大の敵に窮地に追い込まれたロッキー…果たして彼はKGFを守り、生き残ることができるのか!?
監督・脚本:プラシャーント・ニール
出演:ヤシュ
シュリーニディ・シェッティ
サンジャイ・ダット
ラヴィーナー・タンダン
制作年: | 2018 |
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2023年7月14日(金)より新宿バルト9ほか全国公開