正統続編なのに“沈黙”なし!『暴走特急』
『沈黙の戦艦』は、ストーリー的に無関係なものでもセガール主演作でさえあればタイトルに「沈黙の」が付くキッカケとなった。
だが、セガールが再びライバックを演じる正統続編のタイトルに、ファンはニワカに耳を疑った。
それはズバリ、掟破りの『暴走特急』!
……「続編には付かないんだ! 沈黙!!」と震えたファンもいるのではないだろうか。
疎遠になっていた姪っ子と交友を深めるため、特急列車へ乗り込んだライバックだったが、衛星兵器<グレイザー1>のコードを狙ったテロリストが偶然乗り込んできた! というのが主なあらすじ。
そして修羅場のレベルが大幅アップ! もちろんセガールが、ではない。テロリスト側が、だ!
なんとテロリストがライバックの姪っ子を、よせばいいのに人質にしてしまう。セガールの身内を人質にしたら、もはや死を覚悟するしかない。ある意味、セガールが車掌の“地獄行き片道特急列車”に99分間揺られる悪党たちを描く作品である。
『鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットは記憶に新しいが、本作は『鬼滅のセガール 無限(に人が死ぬ)列車編』の様相を呈している。
いつも心にケイシー・ライバックを
常人であれば動揺する状況でも、眉一つ動かさず人間を料理していくライバックのキャラ造形は本作でも健在。例え肩を撃ち抜かれても「安心しろ、弾は貫通した」と手当要らず。普通に考えたら「いや、安心できないよ!」という話だが、セガール……というかライバックなら安心なんです!
それだけに留まらず、ライバックの名前を聞いたテロリストがビビりまくり、ライバックの死体を見るまで安心するな! と厳命するなど、「ナメてなかったセガールが案の定セガールでした」描写に拍車がかかっている。
続編ということで、気の利いたライバック・ジョーク(主に人を殺した後に放つ)が追加トッピングされているのも本作の特徴だ。
女性の胸元に気を取られたテロリストをブン殴り、「おっぱいには気をつけろ」。ラスボスとの死闘に圧勝し、「キッチンじゃ負けない」。……などなど、観ていて思わず「ごちそうさまでした!」と言いたくなる捨て台詞を披露。
天を飛ぶ衛星兵器より、地を練り歩くセガールが脅威……とでも言わんばかりに、改めてライバックというキャラの凄みを感じさせる続編に仕上がっている。セガール作品に上も下もないものの、比較的他人にオススメしやすいのが、この「ライバック」シリーズだ。
生きていると想定外、あるいは危機的な状況に陥る機会が多い。ともすれば狼狽して右往左往してしまうこともあるだろう。そんな事態に備えるためにも、『沈黙の戦艦』と『暴走特急』を見て、心の中にケイシー・ライバック精神を宿してほしい。
文:DIEsuke
『沈黙の戦艦』『暴走特急』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年7月放送