ケイシー・ライバックとは何者だったのか? テロリスト涙目のタクティカル仕草『沈黙の戦艦』&セガール車掌の地獄行き片道列車『暴走特急』

ブルーレイ:6,369 円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 1992 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
『暴走特急』日本語吹替音声追加収録版
ブルーレイ:6,369 円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 1995 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
人も食材も両方おいしく調理『沈黙の戦艦』
ケイシー・ライバック。料理の腕とノリの良さには定評のある、戦艦ミズーリ所属の料理長。だが、その正体は元ネイビーシールズにして、対テロのエキスパートであった。
海軍十字章2回、銀星章2回、名誉負傷章4回、青銅星章3回、海軍表彰章2回、戦闘行動賞、国土防衛従軍章3回……と、麻雀で言えば数え役満な戦績のオーナーだ。
さらには素手、ナイフ、銃器、破壊活動でも敵なし。いわば人間国宝ならぬ軍人国宝な彼であったが、過去に部下をみすみす見殺しにした上官に直接ヤキを入れたおかげで降格。普通であれば不貞腐れそうなものだが、今ではコックとして乗組員に料理を振る舞っていた。
だが、舐めた態度を取る輩は許さない。例え上官であろうが盾突くなど、決して牙は抜けていないのであった。
――と、改めて書いてみて思う。
最近のラノベ作家さんでも躊躇しそうなほどに、この盛りに盛った設定はどうだ!?
そんな彼が「異世界に転生する必要なんてないさ!」と言わんばかりに、人も食材も両方おいしく調理していくシリーズ第1弾が『沈黙の戦艦』である。
セガールのタクティカル仕草から目が離せない
退役を控えた戦艦ミズーリに搭載された核弾頭を狙い、まだ宇宙人になる前のトミー・リー・ジョーンズ率いるテロリストが占拠! セガールの<103分 殺人クッキング>が展開されていく……というのが『沈黙の戦艦』の主なあらすじだ。
閉ざされた状況のなか孤立無援で戦う、と聞くと「嫌ねぇ……ただの『ダイ・ハード』インスパイア系じゃないの」と捉えられるかもしれない。だが本作を“インスパイア作品”の一言で済ませられないのが、風が吹こうが鎗が飛ぼうがトマホーク・ミサイルが飛ぼうがどこ吹く風、なセガールのブレのなさである。
険しい表情をしつつ、冷凍食品をレンチンする感覚で淡々と悪党どもを料理!
――1988年、増えすぎた“無双系アクション”へのカウンターとして生身のブルース・ウィリスが七転八倒する『ダイ・ハード』が製作された。
それに対し、超人セガールがフラグをひとつひとつ丁寧にヘシ折っていくのが『沈黙の戦艦』だ。ウィリス演じるマクレーンは当時「世界イチ不運な男」と謳われていたが、本作ではテロリスト側が世界イチ不運としか言いようがない。
しかし「全員死ぬんだろうなあ、敵……」と、分かりきっていても目が離せなくなる要因は、やはりセガールのタクティカル仕草のおかげだろう。
コルト・ガバメントM1911の構え方、索敵する際のクリアリング、超実戦型合気道、即席ブービートラップ、タイマンで披露するナイフバトルのムーヴなどは、今見てもリアルなハッタリに満ちている。
また余談ではあるが、舞台となる戦艦ミズーリも今ではハワイの観光名所として名高いので、行く機会があれば是非ラストのライバックばりに敬礼するのをおススメしたい。