AI人形の“優秀すぎた”学習能力
玩具大好きな少女ケイディ。いま彼女が熱中しているのは、タブレットで操作して遊ぶ“ペッツ”だ。ケイディは片時も“ペッツ”を手放さず、車での移動中も熱心に遊んでいた。玩具に傾倒する彼女を巡って視界の悪い雪道で口論を始める両親。それが不注意へとつながり、車は除雪車と正面衝突。ケイティを残して両親は死亡する。
孤児となったケイディは、叔母のジェマに引き取られる。彼女は“ペッツ”の開発者だったが、売り上げが滞る“ペッツ”のコストダウンを強いられ、ケイティの面倒を見る暇などなかった。だが、彼女は自動学習ロボット“M3GAN”を秘密裏に開発しており、試験段階の“M3GAN”をケイディに与える。
ケイディの保護を優先するよう命じられた“M3GAN”は、その強力な学習能力を発揮。落ち込んでいたケイディは見る見るうちに元気になっていく。ここぞとばかりにジェマは“M3GAN”を上司にお披露目し、製品化の許可を得る。しかし“M3GAN”の高い学習能力によって、事態は思いもよらない方向へと進んでいく。
ケイディへの“違和感”が暗示させる暴力的な素顔
「思いもよらない方向」と書いたが、便宜上書いたのみで予告編や前評判通りの方向である。「大筋が予想できる」ことが、絶妙なバランスを持たせているのだ。
本作は、冒頭からバランスを保つための“撒き餌”を十分に行う。ケイディは車内で“ペッツ”に夢中になっているが、この時点で彼女が“まともではない”ことが示される。
“ペッツ”は往年の“ファービー”を彷彿とさせるキモさ満点のぬいぐるみ。しかもご飯を与えすぎると糞をする奇天烈な代物だ。そんな“ペッツ”に淡々と餌をやり続けるのだから、ケイディはかなり“変”ではないだろうか?
この違和感は中盤以降、寝食を忘れ“M3GAN”を溺愛し暴力まで振るうようになるケイディの姿を暗示させる(暴力を振るうのは“M3GAN”だけでなく、その影響下にあるケイディも狂暴な性格を露わにするのだ)。
もちろんジェマも同様だ。彼女は生粋の玩具開発ギークゆえに、幼いケイディの“教育”を忘れるどころか、彼女を実験材料とした“M3GAN”の開発に夢中になる。結果、誰も望まない“M3GAN”の暴走へとつながっていく。
『M3GAN/ミーガン』
交通事故で両親を亡くし、悲しみからふさぎこんでしまった9歳の少女ケイディ。おもちゃメーカーの才気あふれる研究者ジェマは、この姪を引き取ることになるが、仕事ひと筋の独身者にとって育児はハードルが高い。
そこで彼女は研究段階のAI搭載の人形M3GAN(ミーガン)を、実験を兼ねてケイディにあたえる。ケイディは“彼女”との交流によって笑顔を取り戻していった。
ケイディが親しめば親しむほど、彼女によかれと思えることを次々と実行していくミーガン。しかし彼女の中に芽生えたケイディへの愛情は、やがて狂気へと変わり、とてつもない惨劇を引き起こす……。
監督:ジェラルド・ジョンストン
脚本:アケラ・クーパー
原作:ジェームズ・ワン
出演:アリソン・ウィリアムズ
ヴァイオレット・マッグロウ
ロニー・チェン
制作年: | 2023 |
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2023年6月9日(金)より全国ロードショー