先住民コミュニティのリーダーが参加
モリーを演ずるリリー・グラッドストーンは先住民の血を引く女優である。5月21日に行われた記者会見は、記者の列が1時間前からできるような盛況。ディカプリオとスコセッシ監督、グラッドストーン、デニーロに加え、オセージの先住民コミュニティのリーダー、チーフ・スタンディングベアも同席した。
スコセッシ監督が口火を切る。「何年も懸けた仕事だったが、リリーがいて、レオがいて、ボブがいて、オセージの人々がいてチーフもいるという素晴らしいコンビネーションで、監督として非常に感動した仕事になった」。リリー・グラッドストーンもデニーロも、スペシャルでパーフェクトな現場であったと口をそろえる。
ディカプリオは「決して忘れられない現場だった。先住民と白人の両方の立場から描かれ、二つの民族の関係性について重要な瞬間を描いている。二つの文化やコミュニティの信頼について、法廷審査を通して描かれることになるが、原作とともにこの映画でオセージの歴史を残せて光栄に思う」とつづけた。
ディカプリオ「悲劇的でひねりの効いたラブストーリー」
チーフ・スタンディングベアも、この映画撮影隊に信頼をおいて街をあげての協力を惜しまなかったと語る。
撮影を通じて我々は裏切られることのない信頼を彼らに感じた。原作を脚本化するにあたって、モリーに焦点を当てオセージの外の世界との関わりと裁判を中心に描いていくことにしたのが良かったのだと思う。
チーフの言うとおり本作は、町全体の物語を俯瞰的に語るのではなく、物語の中心軸をアーネストとモリーに絞り込んで、レオ曰く「悲劇的でひねりの効いたラブストーリー」として描かれている。そうやって絞り込んでも、3時間26分。この長さについて監督は、こう説明している。
この町で起こったことと、それがもたらしたことを正直に描きたかった。人間関係、事実関係などを描くためにはどうしても時間が長くなってしまう。それでも、何ができるかと考えて、ストーリー仕立てにしキャラクターを立てて語らせることで整理することができるのではないかと考えた。なにせリサーチに2年かけているからね、描き込みたいことは山のようにあるし、描かなくてはいけないこともたっぷりある。どう整理しても、この長さは必要なんだ。観客にとっては快適ではないかもしれないというリスクはあるが、オセージで起きたことを知るチャンスにはなると思う。