豪華なヨット。毎夜のパーティー
棕櫚の並木が南国気分をかきたてる。
そんな海辺のクロワゼット通りには、白亜の豪華ホテルがずらりと建ち並ぶ。
ホテルの前はプライベートビーチになっている。
私がカンヌに行き始めた80年代には、まだビーチで上半身裸の女優の卵たちの撮影会が開かれていた。
今はここに仮設テントがびっしり設営され、映画祭期間中は毎夜パーティが開かれる。
一方、一般人が立ち入れる砂浜は、パレ・ド・フェスティバルに近い市営のビーチに限られている。
ここには大きなスクリーンが建てられ、誰でも見られる無料の野外上映が行われる。
映画祭が開幕すると沖合に豪華ヨットが何艘も停泊し、ここでも毎夜パーティーが開かれる。
“カンヌ人種”は、映画をはしごする「ムーヴィーゴウアー」と、パーティーをはしごする「パーティゴウアー」の2種に分かれる。
映画好きにもパーティー好きにも、カンヌは毎日がお祭りなのである。
初夏の日差しと牡蠣とワインと
カンヌ・グルメで一番のお薦めは、目の前の地中海で獲れる海の幸を使った料理だ。
同じ地中海沿岸の街マルセイユでは具沢山のブイヤベースが名物だが、カンヌはシンプルにスープ・ド・ポワソン(魚のスープ)。
ちょっと見ると具のないブイヤベースというか、ただのサフラン色のスープだが、何種類もの雑魚からとった出汁が決め手だ。
ここにクルトン、アイオリ(ニンニクマヨネーズのようなもの)、おろしたチーズを入れ、混ぜて食べる。
忘れられない美味しさだ。
もう1つ外せないのは、生牡蠣、海老、貝を、何種類もお盆に並べたフリュイ・ド・メール(海の幸)だ。
フランスでは生牡蠣はRのつく月(9月septembre、10月octobre など)以外は食べてはいけないと言われているが、カンヌでは一年中食べられる(産卵期をコントロールしているのだろう)。
初夏の日差しを浴びながら食べる生牡蠣の味はカンヌならでは。
飲み物は地元プロバンス産のロゼ・ワインに限る。
こういった海鮮料理を食べるなら映画祭会場の西側、旧港を囲むレストランで。
お土産用のポスターやT シャツなどの映画祭グッズなら、会場内と周辺に何カ所かある公式ストアで手に入る。