ヴィン流“成りあがり”スペースオペラ『リディック』
前作に比べ予算も増えたのだろう。限定空間でのSFホラーから、まさかの寺沢武一的なスペースオペラに路線を変更!
賞金稼ぎや、宇宙規模のカルトな狂信集団ネクロモンガー(いい名前だ)を相手に、気がつけば矢沢の永ちゃんばりにリディックが成りあがっていく。
「悪魔か救世主か」「これが運命なら戦うしかない」「壮大な銀河年代記の幕が開く」というキャッチコピーどおり、実に景気の良さを感じさせる作品となった。
リディックの秘められし出生、物理攻撃の利かない大女優ジュディ・ディンチ、収監・即脱獄、ブラザー精神を発揮する前作生き残りの僧侶、高速ラスボス、リディックらしさ全開のサグいオチなどなど、日本の配給会社が「『スター・ウォーズ』以来のスペースオペラ!」とブチ上げるドカ盛りっぷりだった。
その後『リディック』シリーズはゲームにアニメにと展開したものの、ヴィンが他の作品や『ワイスピ』で忙しくなったこともあったのだろう、年代記の幕が開きっぱなしの状態が続くのであった。