冒頭シーンを観るためだけでも鑑賞料を払う価値あり
というわけで、まずは1作目のおさらい。マイケルくん(6歳)は、ある日突然実の姉をメッタ刺しして殺害。精神がかなりキテるね、ということで精神病院へ強制入院させられた。
そんな事件から15年後の1978年。それまで大人しくしていたマイケル(21歳)は突如精神病院を大脱走。ハロウィンで浮つく地元ハドンフィールドの町に帰ってきて、盗んだ作業用つなぎとマスク、どでかい洋包丁で武装。なぜか女子高生ローリー・ストロードの命をつけ狙うのだった……。
そして本作『ハロウィン』の舞台は、現実世界と同じく1作目から40年の時が経っている現代。40年前にハロウィンで起きた連続殺人事件を追うネット記者2人組が、精神病院に収監されている犯人マイケルに直接取材を敢行するという驚きのオープニングから幕開け。
厳重な警備の元、ようやくマイケルと対峙したネット記者はなにやらバッグの中をゴソゴソ。そして質問には一切答えず黙って背を向けるマイケルに、バッグから取り出したマイケル愛用マスクを突きつけて一言「おいマイケル! なんか言えっつーの!」
ここだけで鑑賞料の元が取れるほど完璧なオープニング。オールオッケー。もう好きにしてくれ!
おかえりマイヤーズ! 40年間キミの帰りを待っていた!!
いっぽう、40年前の事件の生き残りであるローリー・ストロードは森の奥の一軒家でひとり隠遁生活をキメこんでいた。いつまた来るともしれないマイケルの襲来に備えて武器をしこたま隠し持ち、家は大量の防犯カメラや数々の仕掛けを作って要塞化。そのあまりに過剰な防衛策から当然娘家族とはギクシャク中で、唯一の味方といっていい存在はティーンの孫娘のみ。そんな中、マイケルが別の収容施設に移送されるという知らせが舞い込んで……。
というわけで、またまたマイケルが脱走→町に帰ってきて大殺戮! という黄金パターンなわけですが、今回の柱はローリーとマイケルの40年越しとなる因縁の対決。劇中でローリーは「あいつはこの時を待っていた……。私もだ!」と言い放つわけですが、それには「こっちもだよ!」と目頭が熱くなること請け合い。なにより1作目でローリーを演じたジェイミー・リー・カーティスが今作でも老いたローリーを、そして1作目でマイケルを演じたニック・キャッスルもそのまま白髪混じりのマイケルを演じているという驚愕のキャスティングこそが肝で、作品全体の強度は限界突破。
さらに、シリーズおなじみのテーマスコアはガンガンかかって気分をブチあげてくれるし、音楽担当は1作目の監督&音楽を担当したジョン・カーペンター。もちろんゴア描写も抜かりなくシリーズ屈指のパワフル極まりないものとなっているし、なかったことにされた続編たちからのオマージュも多々。なのに旧作ファンならずとも絶対に楽しめる、という恐ろしくなるほど優等生な仕上がり。
スクリーンで観ておかないと後で絶対に後悔するタイプの逸品です!
文:市川力夫
『ハロウィン』
1978年、ハロウィンの夜。殺人鬼マイケル・マイヤーズが精神病棟を脱走し、多数の犠牲者が出る事件が発生。彼の目的は、一人の女子高生の命だった。すんでのところでマイケルは射殺されるが、死体は忽然と消えていた。人知を超えた怪力、動機不明、感情不明、そして不死身。畏怖の念を込めて人々はこの恐怖の化身を“ブギーマン”と名付けた。
2018年、事件から40年後のハロウィンの夜。“ブギーマン”は、再び現れる!
制作年: | 2018 |
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監督: | |
音楽: | |
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