インド映画史上最高製作費を投じたアクション超大作『RRR』が2022年10月21日より絶賛公開中だ。本作の公開に伴い来日したS.S.ラージャマウリ監督、W主演のNTR Jr.とラーム・チャランによる舞台挨拶も大盛況だったが、このたび三雄揃っての取材が実現。
「インド映画は画も音も感情も色鮮やか」
―『バーフバリ』で生まれたこのムーブメントを大きくしていくために、インド映画を観たことがない日本の皆さんに、その素晴らしさを伝えていきたいと思っています。インド映画界の最前線にいるお三方が思う“インド映画の魅力”を改めて教えてください。
ラージャマウリ監督(以下、監督):まず、インド映画は州ごとに独自の映画文化がありますが、広いくくりでインド映画の特徴を言うと、とても色鮮やかで生き生きとしていることです。画も音も感情も色鮮やかだと言えます。
NTR Jr.(以下、NTR):ラージャマウリ監督がおっしゃる通りです。それに、インドでは様々な言語で映画が作られているけれど、共通して独自の神話、歴史、文化などとの結びつきの強い作品が多いことから、他の国の作品とは異なる特徴が生まれてくるのだと思うよ。
ラーム・チャラン(以下、チャラン):インド人は自然をとても大切にしています。そして、とても色鮮やか。個人的にもダークな作品は好まないのですが、インド映画の85%は鮮やかで明るく、幸せな空気が漂っていると思っています(笑)。
一同:笑
監督:もっとあるんじゃないかな(笑)。
チャラン:私は、そういう明るい作品をもっと観たいと思っています。私たちの文化と色濃く結びついた物語を、ラージャマウリ監督のように日本や北米、世界中が楽しめる作品に転換できる方がいます。
「日本のファンダムの素晴らしさは世界中を見渡しても他にない」
―ラージャマウリ監督は『バーフバリ』シリーズ(2015年/2017年)のプロモーションで来日されていますが、改めて日本での体験を振り返っていただけないでしょうか。
監督:とても刺激的で驚くべき体験でした。日本の観客の皆さんが『バーフバリ』を気に入って頂いたからこそ来日することができたのです。日本の方々は相手を敬って、周囲の人に様々な配慮をしてくださることに驚きました。そして私や俳優陣、スタッフたちも日本の観客の『バーフバリ』への愛情にとても感動しましたし、『バーフバリ』のために注いできたことが報われました。私宛にテルグ語で美しい手紙を書いてくれた方もいて、このようなファンダムは世界中を見渡しても他になかったんです。この素晴らしい体験を大切にしたいと思いますし、一生忘れることはありません。インドに帰国してから、NTRとチャランにも日本で体験したことを話しました。ついに二人も日本で同じ体験ができますね。
―日本のファンの熱狂ぶりは、お二人にも伝わってきていますか?
NTR&チャラン:ビンビン伝わっています!
NTR:今夜の舞台挨拶が待ちきれないよ(※この取材は10月21日に実施)。日本の観客の皆さんがどんな反応をしてくれるのか楽しみだね。ラージャマウリ監督から聞いた日本での体験をこの目で見て、ぶっ飛びたい(笑)。今日、ファンの方からプレゼントを貰ったんだけど、僕の似顔絵がステッカーになって貼ってあって、「ワオ! これは凄い!!」って感じだった(笑)。こんなことインドでは経験したことがないから、とにかく驚いたね。
日本の皆さんはとても謙虚で良い人たちばかり。東京は、ニューヨークやロンドンのような目まぐるしい大都市だと思っていたから、こんなに温かい振る舞いを感じられるとは想像していなかったんだ。本当に、言葉を失うくらい驚いているよ。絶対にまた日本に来たいな。
チャラン:私たちは『RRR』という美しい作品を携えて、日本の観客に楽しんでもらおうと来日しました。私たちが日本からインドに持って帰れるとしたら、それは日本の皆さんや文化から何かを学んで得られるものです。日本の方々を見ていると、人間はこんな振る舞いができるのかと、今までに体験したことない光景を目の当たりにすることがあります。インドだけではなく、世界中の俳優たちが彼らの作品を携えて来日して、日本の皆さんから愛を受け取ってほしいと思いました。私たちは日本のことが大好きです。
「皆さんの反応を直に感じられることは尊い体験。一生忘れることはない」
―『RRR』の撮影、またはプロモーション中に感激する場面はありましたか?
監督:初めて『RRR』をインドの劇場で上映した時は感激しましたね。観客の反応を見て、この映画を作っているときの苦難の数々が消え去りました。そして、アメリカで『RRR』を上映した時のこともとても印象深かった。まず、この製作段階ではアメリカで上映されることなんて想像もできなかったのです。
ロサンゼルスで開催された映画祭<Beyond Fest>に『RRR』が招待されて、現地に行きました。1,000席ほどある会場で、ほとんど現地のインド人で埋まるものだと思っていたら、90%がインドにルーツを持つ方々ではなかった。観客の皆さんは席から立って、スタンディングオベーションをして、そして笑い、ステージで踊る人たちもいました。とても信じがたい、素晴らしい光景でしたね。
NTR:監督の意見をコピペします(笑)。チャランと僕は現地に行けなかったから、映像で<Beyond Fest>での光景を観たんだけど、アメリカの観客が“我らがラージャマウリ”にスタンディングオベーションをしてくれていて、まるで僕らも会場にいるような気分になったんだ。その大きな反応にとても感動したよ。今夜、日本の観客や報道陣と会って、皆さんの反応を直に感じられることは尊い体験なんだ。一生忘れることはないと思う。
チャラン:<Beyond Fest>での『RRR』への熱狂ぶりは『バーフバリ』を超えたと思っていますし、鳥肌が立つほどでした。日本でも『RRR』が同じように受け入れてもらえることを期待しています。
https://www.youtube.com/watch?v=A_ORyiyqdZ8
「『RRR』では『バーフバリ』を超える極上の体験ができるはず」
―最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
監督:『RRR』は二人の英雄の美しい友情を描いた作品です。とても熱いハートを持った英雄たちです。映画館に来てくれた皆さんに約束ができることがあるなら、10分ごとにファンタスティックなシーンを体験できることです。前かがみになってスクリーンに釘付けになるでしょう。『バーフバリ』の時に注いでくれた愛情のように、『RRR』も同じように愛していただけることを願っています。
NTR:こんにちは(日本語で)、日本の皆さん。『バーフバリ』を生んだ偉大なるラージャマウリ監督による『RRR』は、壮大な映画です。監督が約束した通り、スクリーンに釘付けになるほど楽しんでください。ぜひ、『RRR』を応援してくださいね。皆さんの力が必要です。だいすき!(日本語&投げキッス)
チャラン:これまで日本で上映されてきたインド映画、そして『RRR』を日本に招待していただき、ありがとうございます。皆さん『バーフバリ』を存分に楽しまれたと思いますが、『RRR』ではさらに極上の体験ができるでしょう。そして、私たちは『RRR』を超える作品を携えて、また何度も日本に来たいと思っています。愛しています!
取材・文:BANGER!!!編集部
撮影:白井晴幸
『RRR』は2022年10月21日(金)より全国公開中
『RRR』
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。
英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム。大義のため英国政府の警察となるラーマ。
熱い思いを胸に秘めた男たちが運命に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに究極の選択を迫られることに。
彼らが選ぶのは、友情か?使命か?
監督・脚本:S.S.ラージャマウリ
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
音楽:M.M.キーラヴァーニ
出演:NTR Jr. ラーム・チャラン
制作年: | 2022 |
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2022年10月21日(金)より全国公開中