ブラムハウス最新作!
スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒル原作。『エミリー・ローズ』(2005年)、『ドクター・ストレンジ』(2016年)のスコット・デリクソンが監督。製作はあのブラムハウス。出演は『ムーンナイト』(2022年)のヴィラン役も素晴らしいイーサン・ホーク。というだけで、ホラー映画ファンならMUST SEEな映画、それが『ブラック・フォン』です。
もし「予備知識なく『ブラック・フォン』を楽しみたい!」という方は、このコラムはスキップしてください。
※以下、物語の内容に触れています。ご注意ください。
超能力キッズ対トリッキーな殺人鬼!?
『ブラック・フォン』、一言で言えば最高に面白いです。
1978年のアメリカの田舎町を舞台に、子どもを襲うシリアルキラー“グラバー”と、サイキックな力を持つ兄妹の息詰まる駆け引きを描いたホラーサスペンスです。
怖いマスクを被ったグラバーを演じるのがイーサン・ホーク。なんとなく『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)を彷彿させますが、ポイントはグラバー自体は超自然的な存在ではありません。被害者側の子どもたちの方がオカルティックなキャラなのです。
そして、タイトルの“黒い電話=ブラック・フォン”も殺人鬼側の武器や道具とかではなく、これも被害者側の重要アイテム。当初“すごい殺人鬼が呪いの黒電話を使って子どもたちを襲う”みたいな内容かと思ったのですが、全く予想外のストーリーでした。
僕はデリクソン監督の『エミリー・ローズ』がとても好きで、あの映画もエクソシスト物と思いきや、悪魔祓いをした神父は正しかったのか!? という法廷劇でもありました。この『ブラック・フォン』も1つのパターンにおさまりきらない面白さがあります。
イーサン・ホークがマスク姿で殺人鬼を怪演!
本作には幽霊とかも出てくるのですが、それ以上に怖いのはイーサン・ホーク演じるグラバー。繰り返しになりますが、その正体はただの人間です。観終わった後に「あれ、イーサン・ホークどこに出てた?」と言った方がいたそうですが(笑)、それもそのハズ。ほとんど怖いマスクをつけている。そして、そのマスクもどことなくイーサン・ホーク本人に似ているからややこしい(笑)。とにかく彼の怪演が、この映画の緊張感や厚みに貢献しています。
うまいなと思ったのは1978年という設定。一つの町でこれだけ子どもが行方不明になれば、すぐに容疑者を追えそうですが、スマホどころかケータイやインターネットがない時代。さらに町に監視カメラとかもないので、こういう犯罪が起こっても犯人はなかなか見つけられないでしょうね。
怖いシーンは多いですが目を背けたくなるような残虐シーンはないし、殺人鬼の恐怖に震えるというよりは、そこから脱出しようとする主人公の少年を応援したくなります。今回もスコット・デリクソンとブラムハウスにハズれなしの快作! いや怪作でした!!
文:杉山すぴ豊
『ブラック・フォン』は2022年7月1日(金)より全国公開
『ブラック・フォン』
本作の舞台は、子供の連続失踪事件が起きているコロラド州のとある町。気が小さく独り立ちできない少年フィニーは、ある日の学校の帰り道、マジシャンだという黒風船を持った男に出くわす。「マジック見るかい?」の一言を発したかと思うと、フィニーは黒いバンに無理やり押し込まれ、気が付いた時には地下室に閉じ込められていた。壁に囲まれたその部屋には鍵のかかった扉と鉄格子の窓、そして「断線している黒電話」。だが、その断線しているはずの電話のベルが突如鳴り響く……! それは、この部屋の恐怖と真実を知る“死者からのメッセージ”だった! 一方、妹のグウェンは兄の失踪に関する不思議な予知夢を見たという。夢の記憶を頼りに、必死に兄の行方を探し始める―
監督:スコット・デリクソン
脚本:スコット・デリクソン C・ロバート・カーギル
原作:ジョー・ヒル
出演:イーサン・ホーク
メイソン・テムズ マデリーン・マックグロウ
制作年: | 2021 |
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2022年7月1日(金)より全国公開