本当に怖いサメ映画3選
今回のテーマは「本当に怖いサメ映画3選」とのこと。まるで大抵のサメ映画が怖くないみたいじゃないかと思いつつも実際そんな怖くないのだが、ここはひとつおふざけが少なめの“怖いサメ映画”をいくつか見繕っていこう。
ちなみに『ジョーズ』(1973年)は言わずもがなの殿堂入り作品として、今回の選考からは除外する。とりあえず『ジョーズ』未見の方は適当なサブスクを利用するか、お近くのレンタルショップまでダッシュしよう。
海底の息苦しさ×サメ本来の恐怖『海底47m』
比較的新しいサメ映画の中では、『海底47m』(2017年)がもっともシンプルに“怖い”作品のひとつとして数えられるだろう。といっても、もう公開から5年近く経とうとしているのだが。
ストーリーは、「バカンスに出かけた姉妹が“シャーク・ケージ・ダイビング”ツアーに参加したところ事故が発生。水中の二人は檻に閉じ込められたまま、サメがうようよしている海底47mに落下。船との通信は途絶え、檻の周りは暗闇と人食いザメの群れ、おまけに酸素切れはもう間近……」というソリッド・シチュエーション・スリラーもの。
とにかく本作のウリは、海底という舞台設定の息苦しさだろう。打つ手なしかに見える時間制限つきの絶望的状況下、その中で必死にあがく主人公姉妹には嫌でも感情移入してしまうがゆえに、刻一刻と悪化していく状況、進展しない事態の焦燥感はより嫌らしくドキドキと恐ろしいもの。暗闇からバッと姿を現し襲撃を試みては、サッと消えていく、サメそのもののシンプルな怖さもグッド。バンバンギャーギャー派手に血しぶきが飛びまくるような方向性のサメ映画ではないが、サメ映画史における傑作だ。
余談だが、続編の『海底47m 古代マヤの死の迷宮』(2019年)は、「主人公たちが海底洞窟探索を行う」というアドベンチャー要素を増した内容となっている。そちらも決して悪くはないが、“怖さ”では個人的にこちらを推したい。
真正面から迫る死の恐怖『赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター』
続けて紹介するのは『赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター』(2010年)。よく似たタイトル及び舞台設定のヒット作に『オープン・ウォーター』(2003年)が存在し、世間的にはそちらの方が有名かと思われるが、この“赤い珊瑚礁”だって負けてはいない。
「数名の男女が海難事故で漂流中、突如として現れた人食いザメにつけ狙われる」というのが本作の概要。重ねて申し上げるが『オープン・ウォーター』とあまりに酷似しているため、「ぶっちゃけ、これパクリなんじゃないか?」と警戒された方もいらっしゃるだろう。が、極限状況下に置かれた登場人物の心理描写や、ねっとりとまとわりつくような雰囲気の不快感をウリとする『オープン・ウォーター』に対し、この『赤い珊瑚礁』は直球の“サメの怖さ”で勝負している。
逃げ場のない海で一人、また一人と人食いザメに殺されていく中、必死で安全地帯を探し泳ぎ続ける……。この真正面から死の恐怖と向かい合わせてくる趣向は、本家『オープン・ウォーター』とは別物。名作とまではいかないが、アリな部類だ。
なお今回はややマイナー寄りの『赤い珊瑚礁』の方をあえてピックアップしたが、本家『オープン・ウォーター』も十分怖くておもしろい作品のため、未見の方にはこの際併せてオススメしておこう。
スラッシャー×サメな発狂パニック『シャーク・ナイト』
“怖いサメ映画”だとか“おもしろいサメ映画”を紹介するとなると、どうしても数が少なく「ハイハイ、いつものアレとアレとアレ」になりがちなのだが、あえて最メジャー級を外すとするならば、この『シャーク・ナイト』(2011年)の名が挙がってくるだろう。
「スナッフビデオの撮影を生業とするサイコ殺人鬼集団が、人食いザメを用いて若者たちをなぶり殺しにしていく」という異色の内容で、かなりスラッシャー要素が強い。特に本作は、悪役である殺人鬼のヤカラっぽさ、ヘラヘラしながら問答無用でキレてくる話の通じなさが生々しく、『海底47m』や『赤い珊瑚礁』とはまったく違った方向性での“怖さ”で圧をかけてくる。
またサメ映画には珍しく、作中にはクッキーカッターシャークもとい“ダルマザメ”が登場。生物発光するダルマザメの群れが、鋭い歯で獲物に食らいつくパニック演出はユニークだ。その他、最後の最後に流れるちょっとおかしなノリのラップもちゃんと聴いておこう。
ほかにも数作品紹介したいサメ映画は存在するが、視聴手段の手軽さや多少のマニアックさなどを考慮しつつ絞るなら、私からはこの3本になってくるだろうか。ふざけたコメディ調のサメ映画と同じくらい、こういった怖いサメ映画もまたいいものだ。
文:知的風ハット
『海底47m』はHuluほか配信中
『赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター』はAmazon Primeほか配信中
『シャーク・ナイト』はU-NEXTほか配信中