サッカースタジアム版『ダイ・ハード』!?
出演作『イップ・マン外伝 マスターZ』『大脱出2』が立て続けに公開、現代アクション最前線の一翼を担う存在と言っていいデイヴ・バウティスタの主演作が『ファイナル・スコア』だ。
舞台はイギリスのサッカースタジアム。ロシアで独立運動を展開、現在はテロ組織と化した集団にスタジアムが乗っ取られ、爆破の危機に陥る。もちろんバウティスタは偶然にもそこに居合わせるわけである。
宣伝でも謳ってあるから書いていいだろう。本作は“スタジアム版『ダイ・ハード』”というべき内容だ。無線を通じて見えない敵とも外の警察ともコンタクトを取り合い、駆け引きや頭脳戦が重要になってくるところなど、もうはっきり影響を受けている。アクション的にも「あ、これモロだな」という場面がある。
が、だからといって「どうってことない二番煎じ」なのかというと、決してそんなことはない。
バウティスタの“野暮ったさ”が醸し出すリアル
『ダイ・ハード』(1988年)のブルース・ウィリスとバウティスタには、肉体という大きな違いがある。刑事ではあるが平凡な能力しかないマクレーン(ウィリス)が愚痴を言いながら頭脳と勇気で闘っていくのに対し、元シールズ指揮官でもあるバウティスタは初っ端から強い。
それでいてバウティスタの“無双”を見るだけの映画でもない。バウティスタのもう一つの特徴、それは主演スターとしては画期的なまでの“野暮ったさ”だ。この野暮ったさが、作戦中に死んだ同僚の娘の身を案じ、危機に陥りながら必死で体を張る主人公と完全にマッチしている。スタイリッシュじゃないから、痛めつけられる姿もリアルになる。
ド迫力のアクション描写と好テンポで確実に楽しませる!
主人公が抱える葛藤を描きながらもほどほどに抑えて、映画のテンポはあくまで快調。バイオレンスも容赦なし。サッカースタジアムのさまざまな設備を使ったアクションやブラックなギャグ、劇中のサッカーの試合展開とドラマの展開をだぶらせるなど、スコット・マン監督はじめスタッフの気合いを感じる。物語のカギを握るピアース・ブロスナンのキャラクターも意外性あり。
タイトル、ポスタービジュアル、出演者で、なんとなく「あぁ、いかにもなB級アクションか」という雰囲気になってしまうが、実は確実に楽しめる必見作だと言っておきたい。先日、WWEの祭典<レッスルマニア>でプロレス引退を表明したバウティスタ。しかし映画界での存在感は、今後さらに大きくなっていくはずだ。
文:橋本宗洋
『ファイナル・スコア』は2019年4月12日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
『ファイナル・スコア』
人質は35,000人、タイムリミットは90分。元米国特殊部隊の男がサッカー場を占拠したテロリストに挑む、スタジアム版「ダイ・ハード」!
制作年: | 2018 |
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監督: | |
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