「恐怖の人形」を描く連作ホラー
その人形と暮らすには10個のルールが課せられる。そのルールを破ると……。
『ザ・ボーイ 〜残虐人形遊戯〜』(2019年)は、『ザ・ボーイ ~人形少年の館~』(2015年)の続編であり、人形“ブラームス”に魅入られてしまった人々の恐怖を描くドールホラーだ。
まずは1作目『ザ・ボーイ ~人形少年の館~』に少し触れておこう。ワケアリ主人公グレタ(ローレン・コーハン)がベビーシッターとして、これまたワケアリな老夫婦が暮らす大豪邸に雇われる。その老夫婦が旅行に出かける間、8歳の息子ブラームスのシッターをすることになるのだが、ブラームスはどう見ても“人形”だった。しかも、その豪邸では奇妙な出来事が次々と起こり……。
【DVD/Blu-rayリリース情報】東京・新宿シネマカリテの映画祭「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016」にて上映された『ザ・ボーイ〜人形少年の館〜』の、レンタル&セルリリース日が決定いたしました!続く→ pic.twitter.com/EGocZG9Clc
— 株式会社プレシディオ【公式】 (@presidio00) August 10, 2016
このあたりはドールホラーの定石だが、ちょっと様子が違ってくる。グレタは“ある理由”によってブラームスを人間の子どもとして受け入れるのだ。ご存知『チャイルド・プレイ』シリーズ(1988年ほか)やアナベル人形が大暴れする『死霊館』シリーズ(2013年~)みたいな感じかな? と思ったら大間違い。
思わず「そうきたか!」と飛び上がるびっくり展開! オチを言いたいけど言えない! だって完全なネタバレになるんだもの! そして、そのネタバレこそが観客の賛否に繋がってます。でも僕は好きだよ、ブラームス!!
https://www.youtube.com/watch?v=l1OwaZHu_MA
ブラームスの謎が明らかになる『ザ・ボーイ 〜残虐人形遊戯〜』
続編『ザ・ボーイ 〜残虐人形遊戯〜』には、ショーン(オウェイン・イオマン)とライザ(ケイティ・ホームズ)の夫婦と、息子ジュード(クリストファー・コンヴェリー)が登場。3人は幸せに暮らしていたが、ライザはある事件によって傷ついた自身の心とトラウマを抱えてしまったジュードのために、田舎へ引っ越すことを決める。
そう、その新居こそワケアリ老夫婦が住んでいた人形少年の館! の、敷地内の別宅。そして、その広大な敷地内でジュードがブラームス人形を拾ってしまったことから、新たな恐怖が始まっていく……。
正直『人形少年の館』のほうが面白いのだが、知名度の高いケイティ・ホームズが出ていることだし、先に『残虐人形遊戯』を見ても問題はない。ただ『人形少年の館』の重大なネタバレをくらうことになるので、そんなの気にしない! という猛者はお好きな順番でどうぞ。
両作とも監督はウィリアム・ブレント・ベル。彼の過去作はスチール素材が異様に怖い『デビル・インサイド』(2012年)を見た記憶があるが、このブラームス2部作からはホラー監督としての成長が垣間見える。
イマジナリーフレンドとドールホラー
個人的な印象だが、日本人はイマジナリーフレンドに馴染みがないというか、特に男の子には少ない気がする。巨大ロボとかがそれに当たるのかな? でも、それってもう『パシフィック・リム』(2013年)やん!『トランスフォーマー』(2007年)やん! ホラーじゃないやん! ……なんて考えつつ、洋邦のドールホラーものの割合からしても、こっち系の映画は日本人にはあまりピンとこないのかもしれない。もちろん怖いは怖いのだが。
人形って、性別や年齢を問わず我々と近しい存在だからこそ、独特の恐怖を感じるのだと思う。『少年人形の館』は、ツルリと無機質な顔のブラームス人形のことが徐々に愛おしくなってくるからこそ後半のさらなる恐怖へと繋がり、その真の理由が『残虐人形遊戯』で明かされる、という仕組みだ。一部の展開にちょっと違和感が残ることは否めないが、そこはホラーへの愛でオブラートに包んでおこう。
やっぱり『オーメン』(1976年)の影響なのか、目つきの鋭い男の子がスーツを着ている姿は美しさの中に不気味さがあって良いですね。『残虐人形遊戯』も、ジュードがブラームス人形と同じ格好で座っている姿がホラー的に“グッとくる画”なので、ぜひご覧いただきたい。
ちなみにブラームス人形は『少年人形の館』公開時のプロモーションで東京観光したらしいですよ! やっぱり好きだよブラームス!!
来ちゃった!『ザ・ボーイ〜人形少年の館〜』夏、新宿シネマカリテほか全国公開 https://t.co/d1lFmhMN1W pic.twitter.com/A86mnO5l2g
— 株式会社プレシディオ【公式】 (@presidio00) July 13, 2016
文:ゾニー(KING BROTHERS)
『ザ・ボーイ ~人形少年の館~』『ザ・ボーイ 〜残虐人形遊戯〜』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「ザ・ボーイ イッキ観!」で2022年3月放送