DCコミックから新たなヒーロー映画が登場……その名は『シャザム!』!! 天涯孤独の少年が魔法の呪文でスーパーパワーを持ちムッキムキなヒーローに変身する、DCエクステンデッド・ユニバース最新作だ!!!
意外と少ない? アメコミ界を代表する“変身”ヒーロー!
シャザムはスーパーマンと同等のパワーを持つ超人で、コミックが出版されていた1940年代に絶大な人気を誇っていました。それが今回、超大作として映画化! このヒーローには、他のアメコミ・ヒーローにはないユニークな設定があります。それが彼の人気の秘密だったわけですが、ズバリ! シャザムは“変身ヒーロー”なのです!!
実はアメコミにおいて、この“変身ヒーロー”というのは意外に少ない。まずシャザムは、ビリーという少年が魔法の呪文「シャザム」を唱えることで逞しい大人の男の超人に変身します。ここで重要なのは、ビリーは少年の時は普通の子ですが、呪文を唱えた途端に超人シャザムになるということです。
つまり、ビリーくんとシャザムの肉体的なスペックは明らかに違うわけで、真の変身です。これに対しスーパーマンの正体はクラーク・ケントですが、クラーク自身はもとから超人なわけです。そして、その力を人目をはばからず使うためスーパーマンというアイデンティティになるわけで、クラークがスーパーマンに変身する、というのは“変装レベル”の話です。
アメコミ・ヒーローの場合、この“変装レベルの変身”が圧倒的に多いのです。強いて言えば、シャザムに近い変身はやせっぽちのブルース・バナーが緑色の巨人ハルクになる、くらいでしょうか?
そして少年が変身する、というのも大きなポイント。それまでのヒーローは子どもが憧れる大人でした。自分もヒーローになれたらいいのに ― そういう願いにストレートに応えたのがシャザムなのです。
愉快! 爽快! 燃えて笑える超人エンタテインメント!!
ほぼ同時期のバットマンにはロビンという少年の相棒が登場します。ロビンもまた、ヒーローになりたい! という少年の気持ちを汲んで登場させたキャラと言われています。シャザムとロビンによって、大人中心のヒーローものに若年層の視点が持ち込まれたわけです。
今回の『シャザム!』は、この原作コミックの良さをストレートに映画化しており、本当は心優しいクソガキなビリーくんが魔法の呪文で超人になる運命を背負ってしまい大騒ぎが起こる、というコミカルな冒険ものに仕上がっています。
しかし怖いところはすごく怖いし(敵が“七つの大罪”をモチーフにした魔物なのです)、スーパーパワーを使ったアクションの見せ場がさく裂! 昨今のアメコミ・ヒーロー映画に負けない、愉快爽快な超人エンタテインメントに仕上がっています。
なお、映画『シャザム!』の世界はスーパーマンやバットマン、ワンダーウーマン、アクアマンらのヒーローがすでに存在している設定になっていて、この先シャザムが他のヒーローと共演するかもしれません。気難しいバットマン視点ではなく、無邪気な少年視点で語られるジャスティス・リーグとか、観てみたいですね。
最後にトリビアを。サム・ライミ監督の『スパイダーマン』(2002年)において、トビー・マグワイア演じる主人公ピーターが蜘蛛糸の発射を練習する際、そのかけ声で「シャザム」というコトバを使っています。つまり「シャザム」は、少年がヒーローとして目覚めるための定番マジカル・ワードとしてファンの間では認知されているわけですね。
文:杉山すぴ豊
『シャザム!』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年4月放送
『シャザム!』
見た目はオトナ!中身はコドモ!史上最年少“ダサかわ”ヒーローが世界を救う!
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
CS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年4月放送