今年もしれっと“2021”映画
『インデペンデンス・デイ2016』(2016年)、『アルマゲドン2020』(2020年)、『デイ・アフター・トゥモロー2020』(2019年)……。
日本国内では、「誰もが知る名作映画のタイトルをしれっと拝借しつつ、その邦題に適当な西暦をくっつけ、別物でありながら大手スタジオの関連作品っぽく装った」、まったく関係のない便乗低予算映画が毎年リリースされている。もちろん今年すなわち2021年にだって、やれ『〇〇2021』だとか『××2021』なんて邦題の低予算映画が、さも超大作みたいな顔でレンタルショップの新作コーナーに並んでいる。
そこで今回は、2021年にリリースされた胡乱な“2021年映画”たちをいくつか紹介していこう。
テロでジェット機が原発に云々『エアポート2021』
まず1本目は、かの映画スタジオ・アサイラム社が送るスカイパニック・アクション映画、『エアポート2021』。あの“エアポート”の名を冠してはいるが、特に続編でもなんでもないし、そもそも2020年の作品だ。
その内容は、「ハイジャックされたジャンボジェット機が原子力発電所に突っ込まんとしていたため、たまたま近くを飛んでいた別の旅客機の機長・乗客らが、一丸となってテロリストどもと戦う」というもの。
「上空から重いサービスカートを投げ落とし敵機にぶつける」「旅客機でジャンボのオカマを掘る」など、かなり野蛮な作戦の数々でテロリストを叩きのめす人々の活躍が見所。こんな作戦に巻き込まれてしまった大勢の一般乗客たちが気の毒だが、こんな作戦に屈しているテロリスト集団の方も大概である。
ヒロインが仲間にボロクソ言われる『アルマゲドン2021』
続く2本目は、かの映画スタジオ・アサイラム社が送るSFパニック・アクション映画、『アルマゲドン2021』。あの“アルマゲドン”の名を冠してはいるが、特に続編でもなんでもないし、そもそも2020年の作品だし、さっきも同じようなことを言った。
作品としては「宇宙の彼方からとんでもなく固い隕石が地球目がけて接近してきたため、天才科学者のヒロインが、権力者の無理解やカルト集団の妨害にも負けず難題に立ち向かう」というテンプレ型ディザスター・パニック。例によってロシア人が憎まれ役として登場したり、ちょっとした親子の絆を描いたりもしている。
総合的には平凡な一本だが、中盤でとある仲間がヒロインに対し、「お前はずっと自分のことが一番だと思っているし、周りのことは何も考えず自尊心で行動するし、傲慢な父親のことを嫌っていたが、その父親と同じことをしている」などと、かなり的確に彼女の欠点をボロクソ言い始めるシーンが印象的だ。
エイリアンより持病がしんどい『インデペンデンス・デイ2021』
3本目に紹介するのは『インデペンデンス・デイ2021』。なんと本作は、アサイラム製作じゃない(!)。麻薬カルテルのボスを護送中、エイリアンの襲撃に遭った特殊部隊の面々が、刑務所に逃げ込み打開策を練るというSFパニック・アクション物だ。
この映画、最初の20分くらい、エイリアンなんてそっちのけで特殊部隊と麻薬カルテルがガチめのクライム・アクションをドンパチ繰り広げているため、かなり面食らうことになるだろう。その後やや遅れがちにエイリアンが襲来、ハイテク兵器とUFOで地球人を蹂躙する……。
のだが、どういうわけだか本作の登場人物たちは、今まさに地球を侵略しているエイリアンの存在よりも、持病のガンのことやマフィアのボスのことばかり気にかけており、脚本的にも中盤までそういった他所ごとにばかりスポットが当たっている(さすがに中盤以降はガッツリ<エイリアンVS生存者>の構図になる)。色々と粗削りな作品だが、ギリギリ見れなくはない。
紹介はもう少しお預け?『デイ・アフター・トゥモロー2021』
さてさて最後は『デイ・アフター・トゥモロー2021』(2020年)……だったが、実はこの映画、予定変更がなければもう1~2ヶ月ほど後に単独コラムとして個別記事を執筆する運びになっているため、申し訳ないがその詳細はもうしばらくお待ちいただきたい。ちなみに、アサイラム作品である。
以上4本(実質3本)の2021年映画を紹介したが、正直なところ万人向けとは言い難い作品ばかりではある。が、2021年の締めくくり、もしくは2022年のはじめに、1本観るくらいはいいのではないだろうか。
文:知的風ハット
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