今度の相棒は元プロレスラーとカンフー俳優!
シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーのW主演でも話題になった『大脱出』(2013年)。その続編が制作された。実際のところ1作目からしてメガヒット作とは言えなかったわけだが、スライ演じる主人公ブレスリンの「刑務所の弱点を見つけ出す脱獄のプロ」という設定はなかなか秀逸で、続編も作りやすいと言えるだろう。
今回はシュワルツェネッガーは出演せず、スライの相棒にあたるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(2014年~)でもおなじみのデイヴ・バウティスタ。さらに中国のイケメン俳優ホアン・シャオミン(『イップ・マン葉問』ほか)が詠春拳の使い手に扮する。いまや珍しくないことだが、この映画には中国の資本が入っているのだった。
スタローンは“指導者”ポジションで物語を回す
今回、主人公ブレスリンは自ら警備会社を経営している。立場としては人を使う側であり、「太陽にほえろ」で言うとマカロニやジーパンではなくボス=石原裕次郎。ストーリーの最前線で動くのはシャオミンで、スタローンは新たな“脱獄不能の監獄”に閉じ込められた部下を救おうとする。
スタローンはシャオミンの心の中で(過去の言葉の記憶という形で)アドバイスを与えもする。ヨーダ的ポジションというのか、『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)でもそうだったように“指導者”なのだ。まあ歳も歳ということはあるが、うまい落ち着きどころを見つけたなという感じで、長年見ているこっちとしても感慨深かったりする。
『クリード~』という“継承”のドラマはもちろん、スタローンの近年のシリーズ作には『エクスペンダブルズ』(2010年~)もある。これはドルフ・ラングレンやメル・ギブソンといった“往年の”スターにチャンスを作りつつ、下の世代であるジェイソン・ステイサムが相棒役だったのもポイントだった。
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』には格闘家(現プロレスラー)のロンダ・ラウジーも出演。単に“昔みたいにやろうぜ”ではなく、現在進行形でアクション映画を担う俳優たちに「お前ら頼んだぞ」と言っているかのようだったのである。それと同じことが、バウティスタたちを起用した『大脱出2』にも言えるだろう。さらに3作目には傑作『イップ・マン外伝 マスターZ』(2019年3月9日から公開中)のマックス・チャンも出演するというから楽しみだ。
スタローンがアクション映画の闘魂を伝承!
すさまじく進歩した技術によって、マーベル映画でロバート・ダウニー・Jrやベネディクト・カンバーバッチといった演技派が超絶バトルを見せてくれる現代。しかしスタローンは“アクション俳優によるアクション映画”を絶やしてはならないと考えているのではないか。
正直、アラも多い映画だが、スタローンによる“闘魂伝承”は支持したい。「体を張るのは若いのに任せて」というばかりじゃなく、スライがきっちりカッコいいところを持っていく場面もありますのでご安心を。
文:橋本宗洋
『大脱出2』は2019年3月29日(金)よりロードショー
『大脱出2』
あれから5年。スタローン演じる脱獄のプロ、ブレスリンが帰ってきた!
コンピューター制御の最強セキュリティ監獄“ハデス”に囚われた仲間を救うため、再び自ら収監され脱獄に挑む!
制作年: | 2018 |
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監督: | |
出演: |