さすがのNetflix
なにしろ豪華だ。主演はドウェイン・ジョンソンにライアン・レイノルズ、そしてガル・ガドット。ロック様×デッドプール×ワンダーウーマンというわけで、10代の映画ファンの妄想を全力で実現させてしまったような感じ。これができるのがNetflixということか。
サイトの作品紹介はごくごく短い。なので内容がイマイチ掴めないという人もいるだろう。が、まあそこは問題ないですとお伝えしておく。アナタが想像してる通りの映画です。
FBIロック様×美術品泥棒レイノルズ&ガドット
ロック様が演じるハートリーはFBIのプロファイラー。専門は美術犯罪。「そうは見えないけど」、「よく言われるよ」というツッコミが劇中でもすぐに入る。このハートリーが追うのが、美術品泥棒にして過去6度にわたり刑務所から脱走した、つまり脱獄王でもあるブース(レイノルズ)。
そして2人を翻弄する、もう1人の美術品泥棒がビショップ=ガドットだ。この3人が秘宝「クレオパトラの卵」をめぐって展開する一大バトル&チェイス、それが『レッド・ノーティス』。どうですか、だいたい想像通りじゃないですか?
想像以上なのは、そのサービスっぷり。みんなが見たいジョンソン、レイノルズ、ガドットをこれでもかと見せてくれる。冒頭、レイノルズとジョンソンがジャッキー・チェン映画ばりの“追っかけバトル”を展開し、策略によってぶち込まれた極寒ロシアの刑務所から協力しつつ、いがみ合いつつ脱走。映画は両極端な個性を持つ2人のバディ・ムービーの色を帯びてくる。
「クレオパトラの卵」を奪いにかかるシーンではケイパーものになり、格闘シーンもバッチリ、クライマックスにはカーチェイスも。“お宝”探しだからインディ・ジョーンズ風味なところも(レイノルズの口笛に注目)。
超豪華“お正月映画”を配信で楽しむ時代
ベースはもちろんアクションコメディ。娯楽ジャンルを詰め込みに詰め込んで、しかもそれが猛スピードで展開するから飽きない。いやまあ、ちょっとそれはどうなってんのという展開もあるにはあるんだけど、スピード感で振り切られてしまうというか。しかも主演3人がやはりスターの魅力満載なわけで。
ジョンソンはあくまで強くカッコよくちょっとトボけていて、ガドットはあくまで美しく頭が切れて度胸満点、レイノルズはあくまでふざける。どんなに窮地でも減らず口が止まらない。ほとんどデッドプール状態。シリーズ化を予感させるラストまで一気に突き進む軽快さも魅力だ。
家で見るんだけど、ポップコーンとコーラ用意したい映画。監督したのは(脚本も)ローソン・マーシャル・サーバー。ドウェイン・ジョンソンとは『セントラル・インテリジェンス』(2016年)、『スカイスクレイパー』(2018年)でも組んでいるから、よほどウマが合うんだろう。俳優の個性、魅力をまっすぐ引き出す娯楽職人という感じで、どれも大傑作とは言わないが確実に楽しめる。
豪華スター勢揃い、肩のこらないスケールの大きな娯楽作。昔はこういうのがお正月映画でよく上映されてたな、という。それが今は配信で。時代が変わったなぁとオッサンとしては思うわけだが、本作の軽さとスピード感は大スクリーンにもスマホ画面にも映える。そういう映画、そういう時代にふさわしいのが、この主演3人でもあるんだろう。
文:橋本宗洋
『レッド・ノーティス』はNetflixで独占配信中
『レッド・ノーティス』
最重要指名手配犯である美術品泥棒とFBIプロファイラー。敵対する2人が、出し抜かれてばかりの共通の宿敵を捕まえるために、仕方なく手を組むことに。
制作年: | 2021 |
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監督: | |
出演: |