マイケル・マイヤーズふたたび
『ハロウィン KILLS』は、2018年(日本公開2019年)にヒットした『ハロウィン』の続編です。不死身の殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズが、あのテーマ曲にのって暴れまくるのです。
今回の『ハロウィン KILLS』は、なんと前作の直後から始まります! つまり、あの悲劇のハロウィンの夜は続いている。そして(大方の予想通り)マイケルは生きています。
彼がまた殺戮をくりかえすわけですが、それでは前作と同じになってしまう。なのでストーリーにひねりが加えられています。
『ハロウィン KILLS』は町の人たちが恐怖のあまりヒステリー状態になり、それがさらなる悲劇を呼び起こすという展開になるのです。この時、タイトルが『ハロウィン KILLS』である意味が分かってきます。
旧作キャスト再演! シリーズ初見でもガッツリ怖い
前作は恐怖に襲われた被害者がトラウマをどう克服し自分の人生をどうとりもどすか、がテーマでした。そして今回は、恐怖に襲われた時の集団パニックが描かれる。ジョーカーによってゴッサムの街の人たちが冷静さを失っていく『ダークナイト』(2008年)の怖さに似ています。
恐怖をテーマにした寓話ですが、説教じみた映画ではありません。前作よりマイケルの凶暴さはアップしており、またアイコニックなブギーマン・マスクが火事でただれて、より異形感が増している。バイオレンス・ホラー感、モンスター感もアップしているのです。
そんなマイケルが燃えさかる家をバックに、消防隊に情け容赦ない攻撃を仕掛けてくる。不謹慎なことを言いますが、やっぱり僕らがこの映画で観たいのはホラー界のターミネーターともいうべき、マイケルの暴れっぷりなのですから。そうした期待に十分応えてくれます。
本作は前作のストレートな続編ですが、1978年(日本公開1979年)の『ハロウィン』、1981年(日本公開1982年)の『ブギーマン』(旧題『ハロウィンII』)からの続きにもなっており、特にこれら旧作のキャストが再演するなど、ファンにとってはサプライズな要素も多い。また、病院が出てくるところも『ブギーマン』に似ている。
従って、旧作を観ていた方が楽しめる部分はいっぱいありますが、基本的には不死身の殺人鬼が暴れまわり、町を恐怖のドン底に陥れるお話。そういう怖い見せ場がたくさん用意されているので、多少ストーリーやキャラ設定がわからなくても、この映画単体で十分満足感はあるでしょう。
恐怖は続く!『ハロウィン』3部作構想の2作目
前作で、絶対に襲われると思っていた主人公のボーイフレンドが生き残ったのは「?」だったのですが、なるほど本作で活躍するためですね。この新『ハロウィン』は3部作で、次が完結編です(従って次回に持ち越しの部分もいくつかあります)。
改めて思うのですが、マイケル/ブギーマン(The Shapeとも呼ばれます)のデザインの素晴らしさです。白いマスクにつなぎの服、凶器となる肉斬り包丁を持っているというシンプルさですが、それだけで十分に怖い。人であって人でない、というバランスが絶妙と言いますか。今回、ひさしぶりに日本でもハロウィンのタイミングで劇場公開されます(前作は日本ではGW映画でしたからね 笑)。
本作はハロウィン・シーズンに楽しむのにピッタリの、ストレートな殺人鬼ホラーです。感染予防のマスクをちゃんとして、マスク姿のマイケルとの再会を楽しんでください。
文:杉山すぴ豊
『ハロウィン KILLS』は2021年10月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開
『ハロウィン KILLS』
40年におよぶローリー・ストロードと“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズの因縁の戦いに決着はついたはずだった。しかし、悪夢は終わってはいなかった。ローリーの仕掛けたバーニングトラップから生還したマイケルは、過去を背負う街ハドンフィールドでさらなる凶行を重ねる。恐怖に立ち向かいブギーマンとの戦いを選ぶ者、その恐怖に耐えかね暴徒と化す者。果たして、ハドンフィールドの運命は!? そして、物語はついにブギーマンの正体に迫り新たな展開を迎える――!!
制作年: | 2021 |
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監督: | |
出演: |
2021年10月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開