ティム・バートン監督の視点で描く『ダンボ』― どこか奇妙だけれど手が届きそうな世界

あらゆるカルチャーの“入り口”になってくれたティム・バートン

『ダンボ』©2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
90年代に幼少期を過ごした僕にとって、ティム・バートン監督は日本のいわゆる「おばけ」や「妖怪」とは違う奇妙な世界を、幼い自分にも理解しやすい形で示してくれる入り口のような存在だった。
『バットマン』(1989年)『シザーハンズ』(1990年)『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993年)『マーズアタック!』(1996年)。どこか影がありながらも細部まで作り込まれた映像は、実際に地球のどこかに存在しているかのようなリアリティで、怖がりながらもよく観ていた。
それらの作品は今観ても引き込まれ、『シザーハンズ』はむしろ昔より良さが分かる気がしていたが、それもそのはずジョニー・デップ演じるエドワードは僕の好きなバンド、The Cureのロバート・スミスをモデルにしたことを始めとして、今の自分が好きなものを多く参照点としていた。
後の音楽的な趣味まで自分はティム・バートンが入り口になっていたのかなと思い、なぜ今なお惹かれるのか妙に腑に落ちるところがあった。
見たことはないけど、きっとどこかに存在している世界

『ダンボ』©2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
ティム・バートンは先に挙げた作品の後も『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)や『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)などなど、お茶の間にも自然に届くようなヒット作を重ねながら、常に作品を発表し続けてきた。
ウォルト・ディズニー・スタジオのアニメーション実習生としてキャリアをスタートし、これまで幾つもの作品でディズニーと関わってきた。そんな中で「不思議の国のアリス」の後日談を題材にした『アリス・イン・ワンダーランド』などはあったものの、今作の『ダンボ』のように一度ディズニーでアニメ映画として公開されている作品を実写化するのは初めてのことだ。
大きな話の筋はアニメ版を踏まえつつも更新されており、また“サーカス”という生活の中で実際に触れることのできる奇妙な世界が、貧しさや豪華さのディテールも含めて丁寧に描かれていて魅了された。舞台となっている劇中の世界も、見たことはないのにまるでどこかに存在するかのように感じられる。
昔と変わらないティム・バートンの好きなところはそのままに、生まれ変わったダンボの行く末が気になり夢中になって観ていた。
文:川辺素(ミツメ)
『ダンボ』は2019年3月29日(金)より全国公開
https://www.youtube.com/watch?v=K7dVOZUvHIA