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「R15+」はダテじゃない! 血噴き肉飛び散る『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は過激でファニーなアメコミ映画

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ライター:#杉山すぴ豊
「R15+」はダテじゃない! 血噴き肉飛び散る『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は過激でファニーなアメコミ映画
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

人気キャラは続投! リブート感強めの続編

あのジェームズ・ガン監督がDCコミックに挑んだ話題作です。終身刑のヴィランたちが減刑と引き換えに、政府の裏工作に加担する。しかし、その任務は危険すぎて命の保証などない。だから俗称:スーサイド・スクワッド(自殺行為部隊)と言われています。悪を倒すため悪党の力を借りる、わけですね。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

2016年にはデヴィッド・エアー監督によって『スーサイド・スクワッド』として映画化されました。みんなが大好きなマーゴット・ロビーのハーレイ・クインは、この映画でスクリーン・デビュー。本作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』はスーサイド・スクワッドの映画第2弾で、何人かの登場人物は前作から続投なので一応“続編”なのですが、全く新しい作品になっています。“続編の形を借りたリブート”という方が正しいかもしれません。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

なお前作は『スーサイド・スクワッド』、本作の原題は『ザ・スーサイド・スクワッド』と、ザ=THEのあるなしだけの違いです。日本ではさらに差別化できるよう、「“極”悪党、集結」という副題を足しています。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

“R”だからこそ! なアクション仕立てのブラックコメディ

今回のスーサイド・スクワッドのミッションは、反米的な独裁国家に潜入し、この国が取り組んでいる極秘実験プロジェクトを破壊すること。その実験が成功すれば、米国はおろか世界がその独裁国家に征服されてしまうからです。こうしてイドリス・エルバ演じる新キャラ、ブラッドスポートや、おなじみハーレイらが独裁国家に潜入します。しかし、そこには大きな秘密が! というストーリーです。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

とにかく前作に比べ、アクションはよりバイオレンス、流血度はUP、セリフはかなりお下劣と過激さがエスカレートしており、R15+(15歳未満視聴不可)作品。前作『スーサイド・スクワッド』もガン監督が手掛けた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』もPGですから、どれだけ刺激的な内容になったかわかりますよね。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

これについてジェームズ・ガン監督に直接聞く機会があったのですが、「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『ザ・スーサイド・スクワッド』の違いは、ストーリーを語りかけている相手/観客が誰なのかということ。18歳の観客がいる部屋に行って話しかけるのと、7歳、8歳の観客に話しかけるのとは違うから。年齢が違えば語り掛け方も違ってくる」と答えてくれました。ガン監督は、ヴィランの冒険は子どもにはまだ早いと思っているのかもしれません。『ザ・スーサイド・スクワッド』を観て子どもが悪党に憧れたら大変ですからね(笑)

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

そしてこの発言からわかるのは、たまたま検閲で表現がひっかかってR15+に指定されたのではなく、当初からR15+を狙って作られていたのだろうということです。

そう、『ザ・スーサイド・スクワッド』は、それくらいヴィランが活き活きと活躍します。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

ヴィラン映画はこうでなくっちゃ! 毒っ気たっぷり魅力的な面々

例えば今回初登場のイドリス・エルバが演じるブラッドスポートは、前作でウィル・スミスが演じたデッドショットに該当する役ですが、ガン監督はわざとブラッドスポートをデッドショットにだぶらせながら、もっととんでもないキャラに仕立てました。デッドショットはバットマンに捕まって収監されますが、ブラッドスポートはスーパーマンを病院送りにして捕まった。これだけでもブラッドスポートが危ない奴であることがわかります。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

両者とも娘のためにミッションを引き受けますが、デッドショットの娘はいい子で彼もその子の前ではいい父親であろうとするのに対し、ブラッドスポートの娘はグレており、お互い顔をあわせれば罵りあう関係です。続投のハーレイも『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』でトーンダウンした毒気が戻っています。過去3作のハーレイの中で一番バイオレンス。さらに行動が予測不可能でしたたかです。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

前作ではワニ人間キラークロックがメンバーでしたが、本作ではシルヴェスター・スタローンが声を演じることが話題のサメ人間、キング・シャークが登場。ワニからサメへ。けれどキラークロックはワニのような容姿の“怪人どまり”でしたが、キング・シャークはバリバリと人間を食いちぎります。前作と比べ、キャラの“悪さ”“狂気”の部分がパワーアップされているのです。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

これは前作をディスるつもりではないという前提で聞いて欲しいのですが、前作『スーサイド・スクワッド』は、やはり『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』から『ジャスティス・リーグ』に至るまでの間の作品だったので、そもそも子どもが観られないようなR指定の映画として作られるわけがなかった。だからヴィランが主役とはいえ、“PGの範囲内の悪党”として描くしかない。けれどDCは、その後『ジョーカー』(2019年)の成功もあったし、現20世紀スタジオの『デッドプール』シリーズ(2016年ほか)や『LOGAN/ローガン』(2017年)もヒットしたから、アメコミ・ヒーロー物でも“R”でイケると判断した。これは『ザ・スーサイド・スクワッド』にとって追い風になったでしょう。

https://www.instagram.com/p/BozgVolhq6d/

ジェームズ・ガンはRというキャンパスを与えられたからこそ“悪党の映画なんだから、より悪党らしく”を目指したのかもしれません。けれどそこはガン監督、かなり血肉は飛び散りますが、バイオレンス映画というよりアクション仕立てのブラック・コメディとして楽しめます。

https://www.instagram.com/p/CSFJGxMpRCX/

今後のDC映画のキモは“THE”の有無!?

豪華キャストですが何人かのキャラは大した活躍もせずあっさり死ぬ。こういう意表をついた展開が、一筋縄ではいかないガン監督らしい“ひねり”ですね。また予告等に出てきますが、ヴィランであるヒトデのような一つ目怪獣はスターロと言って、エイリアン。コミックのジャスティス・リーグの1号の表紙を飾りました。栄えあるジャスティス・リーグの最初の敵をスーサイド・スクワッドの相手に持ってくるところもガン監督ならではのセンスでしょう。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

個人的にはラットキャッチャー2という新キャラがキュートで気に入りました。ネズミ使いの女の子。この役を演じるダニエラ・メルシオールにインタビューしたんですが、オーディションの時はいきなりネズミ2匹を肩に載せられ、“ネズミとの相性”をテストされたそうです(笑)

https://www.instagram.com/p/CRB7uEQA5zn/

さきにも書いたように、前作=デヴィッド・エアー監督『スーサイド・スクワッド』、今回は『ザ・スーサイド・スクワッド』と、ザ=THEのあるなしだけの違いですが、来年は『ザ・バットマン』『ザ・フラッシュ』と、“THE”がついたDC作品が公開されます。

https://www.instagram.com/p/CQG24dNMjAA/

『ザ・バットマン』は、ベン・アフレックではなくロバート・パティンソンのバットマンだし、『ザ・フラッシュ』はマルチバースがテーマで、これからのDC映画の世界観をリセットすると言われています。この先DC映画で、なにか今までの路線を断ち切って新たな試みを試す作品には“THE”とつけるのかもしれませんね。

https://www.instagram.com/p/CEHhQPpDnPz/

文:杉山すぴ豊

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は2021年8月13日(金)より全国公開

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『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』

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制作年: 2021
監督:
出演:
声の出演: