サイモン・ペッグが本格心理サスペンスで怪演!
サイモン・ペッグといえば、枕詞として“俺たちの”とつけたくなる俳優である。『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)、『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007年)、『宇宙人ポール』(2010年)といったニック・フロストとのコンビ作。そしてトム・クルーズの相棒役を演じる『ミッション:インポッシブル』シリーズ(2006年『M:i:III』から出演)。
憎めない、悪い奴には思えない、というより積極的に友だちになりたい。そんなタイプ。冴えない感じもあるけど、でもそこがいい。
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そんなペッグがストレートなスリラー『インヘリタンス』に主演した。演じるのは30年もの間、地下室に閉じ込められていた謎の男モーガン。少しずつ過去が明らかになるたびに、映画を覆う闇も濃くなっていく。
もう1人の主演はリリー・コリンズ。彼女が扮するローレンは資産家の生まれで、ニューヨークで検事を務めている。弟は議員で選挙活動中だ。
そんな時、父が急死。ローレンは父が生前に遺したメッセージから、裏庭の森の中に隠された地下室の存在を知る。そこには謎の男(ペッグ)が鎖に繋がれ閉じ込められていた―。
ペッグ×リリー・コリンズのハラハラ心理戦!
映画の途中までは“心理戦”が描かれる。モーガンはなぜ地下室に閉じ込められたのか。ローレンに向けて語る言葉は、彼女の父、そして家族の過去に秘められた闇を暴くことになる。
同時にローレンと観客が感じるのは、囚われの身となったモーガンの怒りと哀しさだ。過去作でのペッグのイメージもあるからか、見ていて心を許しがちになってしまうわけである。
が、そうすんなりことが運ぶものだろうか……とも思うからこそ『インヘリタンス』は見ていてハラハラする。ペッグだからこその読めない展開と言ってもいい。
そんな“静”の心理戦から、終盤は一気に“狂”が爆発する。この落差、ギャップが激しいから唐突に感じる人もいるかもしれず、評価の分かれ目だろう。
とはいえペッグの怪演が楽しめることは間違いなし。彼の映画を好きで見ていた人には『インヘリタンス』をおすすめしたいし、本作で彼を知った人には過去作を見てほしい。ペッグの演技を“受ける”コリンズの危うげかつ芯のある佇まいも印象に残る。
文:橋本宗洋
『インヘリタンス』は2021年6月11日(金)より公開
『インヘリタンス』
ニューヨークの政財界に絶大な影響力を持つ銀行家のアーチャー・モンローが急逝した。アーチャーの遺産は妻と政治家の息子、そして地方検事である娘のローレンへと相続された。さらに、ローレンへはアーチャーからの「真実は掘り起こすな……」という遺言とともに1本の鍵が遺されていた。ローレンは遺言を頼りに邸宅の裏手に隠された扉を発見する。鍵は地下室への扉を開けるものだった。地下へ足を踏み入れたローレンは、鎖に繋がれた男を発見する。モーガンと名乗る男は、30年にわたりアーチャーの手で監禁されていたと語り始める。果たして、30年前の因縁とは? そこにはモンロー家にまつわる忌まわしき秘密が隠されていた――。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
出演: |
2021年6月11日(金)より公開