おうちGWは『グーニーズ』で冒険気分！ あの俳優は今？ 36年経っても色褪せないジュブナイル・アドベンチャーの金字塔

子ども心に戻って楽しみたい、最高のホリデイムービー

1985年に公開された『グーニーズ』は、翌1986年公開の『スタンド・バイ・ミー』と並んで、今の父親世代が子供の頃に見て胸をときめかせた二大少年期映画だ。作風は正反対で、スティーヴン・キング原作／ロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』が人生のほろ苦さが隠し味なのに対して、スティーヴン・スピルバーグ原案／リチャード・ドナー監督の『グーニーズ』は、海賊が隠した宝を探すというファンタジーで、底抜けに明るい。ホリデー期間に仲間でワイワイ騒ぎながら見るのにぴったりな1本だし、親子で一緒に見るのもお薦めだ。

『グーニーズ』
ダウンロード販売中、デジタルレンタル中
価格：Blu-ray ￥2,619(税込)／DVD特別版 ￥1,572(税込)
発売元：ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元：NBCユニバーサル・エンターテイメント
©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

伝説の海賊が残した財宝を探し出せ！

舞台は、オレゴン州アストリアに近い海辺の町グーンドック。風光明媚な町に再開発の波が押し寄せ、父の借金のおかげで自宅を差し押さえられたマイキー（ショーン・アスティン）は親友のグーニーズたち（グーンドックのグーンと、間抜けという意味のグーンをかけたもの）と別れて、明日には町を出ていかねばならない。

口の達者なマウス（コリー・フェルドマン）、太めで虚言癖のあるチャンク（ジェフ・コーエン）、発明狂のデータ（キー・ホイ・クァン）にマイキーを入れた4人のグーニーズと、マイキーの兄ブランド（ジョシュ・ブローリン）は、歴史博物館で働く歴史好きの父親のコレクションから何か金目のものを探しだそうと屋根裏部屋に行き、1632という年号とスペイン語で説明が書かれた地図を発見する。それは、この地方に伝説として残る海賊“片目のウイリー”の宝を積んだ海賊船のありかを記した地図だった。

『グーニーズ』©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

もし、この地図が本物だったら？ と心を躍らせるマイキー。宝を発見すれば家を追い出されなくて済む。グーニーズたちが地図に記された崖の上に行くと、そこは古ぼけたレストランになっており、しかも長男が脱獄したばかりで警察に追われている凶悪なフラテリー一家の隠れ家だった……。

『グーニーズ』©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『グーニーズ』は、『インディ・ジョーンズ／魔宮の伝説』（1984年）を監督した後、『カラーパープル』（1985年）からシリアス路線へ踏み出す前段階のスピルバーグが製作総指揮として手掛けた作品。原案もスピルバーグで、脚本はアンブリン所属のクリス・コロンバスだが、監督がリチャード・ドナーなので、普通のアンブリン作品よりも演出が荒っぽいが、細かなところに拘泥せず、子供たちの勢いをストーリーに取り入れていく手法が楽しさを持続させている。ちなみに、まるで『インディ・ジョーンズ』っぽい地下での宝探し場面はスピルバーグ自身が演出したもの。

『グーニーズ』©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

個性的な子役たち、その後のキャリアは？

主演のショーン・アスティンは女優パティ・デュークの息子で、これが映画デビュー。今も俳優を続けており、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作（2001～2003年）のサム役や、TVアニメ『ミュータント・タートルズ』（1987～1996年）のラファエルの声などを務めた。

マウス役のコリー・フェルドマンは、本作と『スタンド・バイ・ミー』のテディ役で強烈な印象を残し、80年代で最も成功した少年俳優となった。その後、『ロストボーイ』（1987年）や『ミュータント・タートルズ』（1990年）など、ホラーやファンタ映画方面で活躍。TVシリーズの『ミュータント・タートルズ』では敵役スラッシュの声を担当してショーン・アスティンと共演した。

チャンク役のジェフ・コーエンは俳優の道には進まず、カリフォルニア大学バークレー校を優秀な成績で卒業し、現在はショービズ界の弁護士をしている。

データ役のキー・ホイ・クァンはしばらく子役を続けていたが、『インディ・ジョーンズ／魔宮の伝説』の撮影時に学んだマーシャルアーツを活かしてスタント・コーディネーターに転身した。

『グーニーズ』©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

俳優として最も成功したのは、マイキーの兄役のジョシュ・ブローリンだろう。大人の俳優になるまで少し低迷したが、『プラネット・テラー in グラインドハウス』（2007年）に出演した頃から運がつき始め、コーエン兄弟の『ノーカントリー』（2007年）、ガス・ヴァン・サントの『ミルク』（2008年）、オリヴァー・ストーンの『ブッシュ』（2008年）、ドゥニ・ヴィルヌーヴの『ボーダーライン』(2015年)、『アヴェンジャーズ』シリーズ（2015年ほか）で悪役サノスを演じ、強烈な印象を残している。最新作はコロナ禍で公開が今秋に延期されたヴィルヌーヴの『DUNE／デューン 砂の惑星』(2021年公開予定）。

『グーニーズ』©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

フラテリー一家のママを演じた名脇役アン・ラムジーは、1987年にダニー・デヴィートの『鬼ママを殺せ』でデヴィートの鬼ママを演じ、第60回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたが、同年ガンのために58歳で亡くなった。

また、一家の末っ子で、赤ん坊の頃にママに何度も落とされて顔が変形した怪人スロースを演じた元プロ・フットボール選手のジョン・マツザクも、1989年に38歳の若さで亡くなっている。

36年の歳月は本当に長い。が、グーニーズたちの心踊る冒険の1日は、今見ても少しも色あせていない。

『グーニーズ』©1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

文：齋藤敦子

『グーニーズ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年5月放送