Netflix、アカデミー賞に16作品・38部門ノミネート
どうもアニです。
第93回アカデミー賞にノミネートされたNetflixの短編映画、『ラターシャに捧ぐ 〜記憶で綴る15年の生涯〜』(2019年)、『愛してるって言っておくね』(2020年)、『隔たる世界の2人』(2020年)の3本を観ました。それぞれ短編ドキュメンタリー賞、短編アニメーション賞、短編映画賞の候補作品。Netflixは今回、16作品・38部門にノミネートされてるらしいです。
なんか確実に時代が変わった感、ありますね。2020年はコロナ禍で劇場公開作品が少なかったというのもあるんだろうけど、それにしてもすごい。候補作品は他にどんなのがあるんだろうとチェックしてみたところ、観たい&観なきゃな作品がたくさんあり過ぎて、時間が全然足りないかんじ。『日本侠客伝』シリーズ(1964年ほか)全11本とか観てる場合じゃなかった。まぁ高倉健のカッコよさがわかったのでとても良かったんですが。
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そんなことより、アカデミー賞にノミネートされた短編3本ですよ。どれも候補になるだけあって見応えアリです。本編の時間は短いんだけど、どれも今の社会問題(主にアメリカの)を映してる作品なので、なんか残るというか、観終わった後に考えさせられますね。
彼女は「1ドル79セントの黒人少女」じゃない
『ラターシャに捧ぐ』は、商店にオレンジジュースを買いに行ったところ万引き犯に間違えられ、店主に撃たれて命を落とした事件の被害者、15歳のラターシャ・ハーリンズの友人や家族が彼女の思い出を語るという内容で、この出来事をきっかけにロス暴動が起きたと言われてるらしいです。ロドニー・キング事件とともに。
アメリカでは、被害者が黒人だと加害者の量刑が軽くなる傾向がずっと問題になってる。映画の中で、彼女の友達が「人々は彼女のことを1ドル79セント(オレンジジュースの値段)の価値の黒人少女としか認識してなくて、彼女を個人としては知らない」というのが、なんか個人的には突き刺さりました。
我が子を失った喪失感と虚無感を描くサイレントアニメ
『愛してるって言っておくね』は、これも現代アメリカの問題を題材にした短編アニメーション。会話のなくなった夫婦、それは学校で起こった銃乱射事件に巻き込まれて愛する我が子を失った二人。その喪失感と虚無感をアニメーションで表現した、なんとも悲しいお話でした。
セリフとかも無いし、子供との想い出には少しだけ色がついてるけど、ほぼモノクロの手描きのタッチで子供を失った親の喪失感を表現していて、すごいなと思いました。日本で暮らしていたら、子供が通ってる学校で銃乱射に巻き込まれるなんてことまず無いから。痛ましい事件の被害者家族の視点で描かれたという、なかなか貴重な作品でした。
白人警官による黒人迫害をタイムループで描く!?
『隔たる世界の2人』は女の子と一夜をともにした若い黒人男性が、愛犬の待ってる我が家に帰ろうとマンションを出たところ、白人警官に呼び止められて持ち物検査を強要され、抵抗したところ押さえ込まれて命を落とす……が繰り返されてゆくタイムループ作品。
いろいろと手を尽くして最悪の事態を回避しようとするんだけど、結果はいつも同じ。という、最近また問題になってる白人警官による黒人への暴力事件を題材に扱っているんだけど、シリアスな問題を扱っているにもかかわらずユーモアもちゃんとあったりするのは、なんかすごいね、流石だね、と思いました。
深刻な問題なんだけども、それをスゴい真面目に描くのではなく、ちょっとクスッとできるところも入れてきたりするのって、我が国のエンタメはあまり得意じゃないから、こういう作品を見ると羨ましかったり、ちょっと悔しかったりして。最後も希望というか、諦めない強い意志を感じられてとても良い作品でした。
HIP HOPグループのブギ・ダウン・プロダクションズのアルバムに「EDUTAINMENT」というのがあるんだけど、それは「エデュケイション+エンターテインメント」の造語で、この『隔たる世界の2人』を観た時にそのアルバムタイトルを思い出しました。
2021年のアカデミー賞にノミネートされている短編3本は、どれもアメリカの抱える問題をいろんな角度から描いており、とても興味深く観られました。短編なんで、すぐ観られるところも良いですね。もし興味があるならぜひ観るといいと思います。どれか受賞するのかな。
では、また。
文:ANI(スチャダラパー)
『ラターシャに捧ぐ 〜記憶で綴る15年の生涯〜』『愛してるって言っておくね』『隔たる世界の2人』はNetflixで独占配信中