主演男優賞獲得!ラミ・マレック「『ボヘミアン・ラプソディ』は皆が求めている物語」
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第91回アカデミー賞のノミネートで話題をさらったのは、最多10部門ノミネートの『ROMA/ローマ』と9部門10ノミネートの『女王陛下のお気に入り』だった。しかし、結果は『ボヘミアン・ラプソディ』が主演男優賞、編集賞、録音賞、音響編集賞で最多4部門を受賞!日本でも旋風を巻き起こし、公開から3ヶ月以上たった今も応援上映や爆音上映などが続くほど人気なので、ファンとしては嬉しい結果ではないだろうか。
フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックは、ボクシングやランニングなどのトレーニングで肉体をフレディに近づけ、仕草や動きまで忠実に再現した。主演男優賞を受賞した瞬間、隣に座っていた交際中のルーシー・ボーイントン(フレディの恋人メアリー役)に数回キスし、ステージへと向かった。
ステージ上で、幼少期に自分のアイデンティティについて悩んでいたこと、エジプト移民の息子であり、アメリカ人の一世である自分のルーツを明かしながら、「僕を信じてくれた皆さんに感謝しきれません」と熱く語り、喝采を得た。
スピーチの最後には、客席にいるルーシー・ボーイントンに対して「君はこの作品のハートであり、僕のハートを盗んだ女性だ」と語りかけるなど、ラブラブっぷりも見せつけた。
ガガ&ブラッドリー、『アリー/スター誕生』の世界観100%のパフォーマンスを披露
『アリー/スター誕生』に主演したレディー・ガガとブラッドリー・クーパーは主題歌「Shallow」をパフォーマンスした。伴奏が始まると、二人は客席の最前列から立ち上がり、ステージへ。そしてお互い視線を外すことなく、ブラッドリーが自身のパートを歌い始める。ガガはピアノの椅子に座り、ブラッドリーを見つめながら自身のパートを熱唱。最後にはブラッドリーがガガの横に腰掛け、キスする一歩手前の距離感で歌い上げた。会場はブラッドリーの実際の恋人イリーナ・シェイクを含め、スタンディング・オーベーション!映画のワンシーンを再現したかのような、濃厚な絡みを見せた。
追悼コーナーでは、スタン・リーなどと並び高畑勲と橋本忍が紹介される
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そして、過去1年間に逝去された偉大な映画人を紹介する「IN MEMORIAM」のコーナーで、211名の故人が紹介された。2018年11月に心不全でこの世を去ったアメコミ界の伝説スタン・リーをはじめ、『レナードの朝』『ビッグ』など数々の名作を世に出した監督ペニー・マーシャル、初代『スーパーマン』のヒロインを演じた女優マーゴット・ギターの写真が映し出された。日本からは、2018年4月に逝去された『火垂るの墓』『平成たぬき合戦ぽんぽこ』監督の高畑勲、『羅生門』『生きる』など黒澤作品を支えた脚本家、橋本忍の2名が紹介された。
「#OscarsSoWhite」以降の劇的な変化、第91回アカデミー賞は歴史に深く刻まれるであろう
ここ3年間のアカデミー賞では、とにかく人種問題が議論の的となっていた。2016年、レオさま悲願のアカデミー賞受賞が印象深かった第88回アカデミー賞では「#OscarsSoWhite(白すぎるオスカー)」というハッシュタグが作られ痛烈に批判されるほど、主要部門のノミネートを白人が占めていた。今年、ついにオスカーを手にしたスパイク・リー監督は、第88回アカデミー賞で名誉賞を受賞したが、「白すぎるオスカー」と非難し受賞をボイコットした。
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その後、アカデミー賞は多様性を示そうとしている。第89回では、主要キャストが全て黒人である『ムーンライト』が作品賞を受賞し、第90回では『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督が黒人として初めて脚本賞を受賞する快挙を成し遂げた。そして第91回では、作品賞のノミネートを見ても、『ブラック・クランズマン』『ROMA/ローマ』『ブラックパンサー』と、“白すぎる”ことはない。そして、『グリーンブック』のマハーシャラ・アリは、2度目の助演男優賞受賞という黒人初の快挙を成し遂げた。
また、ここ数年、黒人の監督や俳優の躍進だけではなく、ヒスパニック系の台頭も目ざましい。ヒスパニック系として2年連続受賞の快挙を遂げた人物がいる。メキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥだ。彼は第87回アカデミー賞において『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で作品賞、監督賞、脚本賞を受賞し、第88回では『レヴェナント:蘇えりし者』で監督賞を受賞した。そして第90回では同じくメキシコ出身の監督ギレルモ・デル・トロが『シェイプ・オブ・ウォーター』で悲願の監督賞を受賞。本年、第91回では、プレゼンターのディエゴ・ルナやハビエル・バルデムが、母国語のスペイン語でスピーチをするなど、ヒスパニック系の存在感を強調した。
加えて、第91回の特徴はマハーシャラ・アリを除く、主演・助演賞を獲得した全員が初ノミネート&初受賞だったこと。助演女優賞を初受賞した『ビール・ストリートの恋人たち』レジーナ・キングのように、実績あるベテランだけでなく、新人にも同等の機会が与えられたような気がする。第91回アカデミー賞は、総じて歴史的快挙が多く、アカデミー賞が新しい道を歩み始めたことを感じさせた。また、今年はグラミー賞同様、女性の司会者やプレゼンターが例年に比べて増えている。実際、50人ほどのプレゼンターが登場し、その半数以上が女性だった。
今後、外国語映画賞はいらない?アジア系の活躍も期待
もし、アカデミー賞が“このまま”多様性を重視するとなれば、『ROMA/ローマ』(制作国:メキシコ)のように、外国語映画が作品賞にノミネートされる機会が増えるかもしれない。とすると、日本の映画が作品賞にノミネートされることもありえると期待する。だがそうなると、外国語映画賞とは何なのか。そもそも、この賞があるということ自体が、作品賞にはアメリカ映画が選考されることが前提のようにさえ感じる。次回のアカデミー賞では、ヒスパニック系に次いで、アジア勢の躍進も期待したい。
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文:アナイス