壁にぶち当たったアラフォー脚本家、ラップに挑戦
どうも、アニです。Netflixオリジナル映画『40歳の解釈:ラダの場合』という作品を観ました。40歳が目前に迫った売れない劇作家ラダが、溜まりに溜まった自分の思いをラップしてみたところ、意外な手応え感じてイロイロ奮闘するというような話です。
舞台はニューヨークで、劇中でかかる曲も往年のヒップホップが多かったりして、派手さはないけどおもしろい映画でした。モノクロ映画(一部カラー)のせいか、今の話だけど、いつの時代の話なのか画面からはあんまりわかんない感じでしたね、出てくるトピックなんかは現代のことを扱ってるのだけど。
売れない劇作家の主人公は30代後半で、もうすぐ40歳を迎える。若い頃に「注目すべき30歳未満の脚本家30人」に選ばれたことがあるんだけど、今は鳴かず飛ばずで、高校生に演劇を教えるワークショップの講師をやってます。高校時代の同級生がエージェントをやってくれてて、売り出すためにいろんな手を尽くしてくれて、やっと自分の脚本が舞台化されることになるんだけど、脚本の修正なんかを要求される。
それで40歳を前に、今の自分が感じることをラップしてみたら意外と手応え感じて、ミックステープを作ろうと奮闘したり、自分の脚本が改変されていく狭間で悩んだり、高校生に演劇教えたり……みたいな映画です。
ATCQの影響も? ブリブリじゃない“日常”のヒップホップが垣間見える映画
個人的には、主人公がラップを作ろうと奮闘するところがとても面白い。Instagramで自分好みのビートを作ってるDJを見つけて家まで行くんだけど、そこには他にもたくさん若い奴がラップを録音しにきてたりして。そのお礼がマリファナとの物々交換でいいんだ、みたいなところとか。
最近はテクノロジーの進化で、ちょっとした機材を揃えれば曲作りはだいたい自分の家で全部できちゃう。それで何種類かのビートを聴かせてもらって、気に入ったのがあったらそれにラップを乗せる、みたいな最近の感じがちゃんと表現されてます。そんで、そのDJに気に入られて「ライブに出てみなよ」と誘われてライブしに行くんだけど、その場面もサイコーです。
このDJ、劇中では詳しく触れられてはいないんだけど、まぁまぁの人気DJっぽいんですよね、ローカルの。自分のイベントやってたり、車も持ってるみたいだし。主人公を誘ってドライブに行くシーンがあるんだけど、そこで「新しいデモだ」って言ってかける曲もいいんですよ。ナイス&スムースのグレッグ・ナイスのラップをサンプリングしてて。
いわゆるヒップホップ的なド派手な要素(宝石、シャンパン、美女的な)はないけど、日常のヒップホップが垣間見える感じがとてもよい映画でした。あと、オープニングにア・トライブ・コールド・クエストの「Electric Relaxation」のインストがかかるんだけど、この曲のビデオの影響なのかな、本編がモノクロなのは? と、ちょっと思ったりして。
では、また。
文:ANI(スチャダラパー)
『40歳の解釈:ラダの場合』はNetflixで独占配信中
『40歳の解釈:ラダの場合』
劇作家としての活路を開こうともがいていたニューヨーク在住のラダは、ラッパーとして本当の自分を表現することに新たな喜びを見い出す。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
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