香港からハリウッドまで縦横無尽に活躍するアクションスター、ドニー・イェンが本格コメディ映画に挑戦! 2021年お正月映画の大本命『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』は、日本を代表するアクション監督にしてドニーの盟友でもある谷垣健治がメガホンを取った、まさにドニーの新機軸と言える爆笑アクション大作だ。
そんな超話題作に、あの竹中直人が参戦! 言葉の壁を超えるファニーなキャラクター“遠藤刑事”を、竹中氏ならではの独自バイブス全開で好演。ドニーの提案だという遠藤のキャラ造形や小ネタ、爆笑必至の撮影秘話、そしてドニー作品への思い入れなどなど、たっぷり語っていただいた。
「ドニーが日本で映画を撮る? 出る出る!」
―まず最初にお伺いしたいのですが、パンデミックによって日本の映画/ドラマ業界には、どんな影響がありますか?
そりゃあ大変です。でも結局、撮影はありますからね。飛沫、三密は当たり前な状況なので、ある意味闘いですね。絶対コロナを侵入させないぞっ! って。
―本作の撮影には影響はなく?
撮影は2年前でしたからね。
―数か国で撮影されたという本作ですが、あの恵比寿や新宿をミックスしたような歓楽街のシーンは完全にセットなんですよね?
セットです。新宿の街、すごかったです。大きな倉庫みたいな所に新宿の街ができてました。びっくりしちゃった。
―では、あの巨大な築地のセットも……
ええ、全部セットです。
―竹中さんといえばブルース・リーのモノマネをイメージする人も少なくないと思いますが、当時の『デブゴン』シリーズ(1978年ほか)はご覧になっていましたか?
観てないんですよね~。ブルース・リー一筋です。でもジャッキー(・チェン)作品は観てましたね。僕は、ドニーは大好きで。『捜査官X』(2011年)とか『孫文の義士団』(2009年)、『イップ・マン』シリーズ(2008年~2019年)は全部観てますね。
―シリアス系のドニー作品がお好きで?
はい。『スター・ウォーズ』にはあまり思い入れはないのですが、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)はドニーが出てるから観に行ったんです(笑)。
―そんなドニーが今回、コメディ映画に主演するというのは新機軸でもあると思うんですが、そこで竹中さんにオファーが来たのはどういった経緯が?
ぼくには分かりませんね。「ドニーが日本で映画を撮るんで、竹中さんちょっと話が来てますよ」と。「あ、ほんと? わかった出る出る」って。
―なるほど(笑)。
僕、「台本読んでからね」とか言ったことないんですよ。スケジュールさえ合えば、お話をいただいた仕事はみんなやります。
「衣装合わせが終わったら“ちょっと待ってください。カツラを作ります”って(笑)」
―本作で演じた遠藤刑事の役柄について、谷垣監督から「こんな感じで」といった説明などはありましたか?
ドニーから「カツラをかぶってほしい」ってのはあったみたいです。
―ドニーの考える“オモシロ”があのカツラにある、ということでしょうか?
かもしれない。僕はどんな仕事でも衣装合わせに時間がかかったことがないんです。今回もスイスイ。これで(衣装合わせ)終わりかと思ったら「ちょっと待ってください。カツラを作ります」って。「え、カツラ!? あ、そうなんだ」って。驚きました。
―(笑)。
でも、すごい(カツラの)技術でしたよ。香港・中国のスタッフがカツラを作ってくれたんです。だからフィット感は完璧でしたね。見事でした。
―劇中、何種類かのカツラ姿で登場されますよね?
何種類か作ったと思います。でも毎回ドニーが「カツラをずらしてくれ」って言うので、「あ、わかりました」って毎回ずらしてました。他にもう2つくらいカツラがあったので、その都度「これにしようか」って言って変えてたかもしれない。
―撮影現場ではドニーが積極的に指示をする形で?
そうです。やっぱりドニーと谷垣さんは師弟関係みたいな感じなので、お二人で決めているっていうことが多かったんじゃないですかね。僕は、例えばドニーの抜け(背後)で余計な芝居してると、「ドニーがあまり動かないでって言ってる」とか言われたり(笑)。「あ、そうなんだ。わかりました」って素直に従っていたことは確かです。
「遠藤刑事のカツラもコルセットも、ドニーの提案」
―遠藤刑事は良い意味でノリ重視というか、かなりザクザクしたキャラクターだと感じました。何かイメージされたキャラクターはいますか?
いや、ないですね。あのコルセットもドニーからの「してほしい」っていう指示でした。
―登場から早々にコルセットをしてましたね。
“コルセットにカツラ”っていうことは聞いていたので、自分がそれに合いそうなメガネを自前でいくつか持っていったんです。メガネがあったほうがいいんじゃないかなと思って。
◤ 𝘾𝙝𝙖𝙧𝙖𝙘𝙩𝙚𝙧 ◢
— 映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』公式 (@debugon_tokyo) December 5, 2020
༄ ༅ 遠藤刑事
演・ #竹中直人 ༄ ༅
🔥首にコルセット、頭にはカツラの
個性的な姿が特徴
🔥任務のため日本にやってきた
フクロンを出迎える🚗🌬#燃えよデブゴン 正月爆上げ公開🎍 pic.twitter.com/evKMfxyCCV
―でも撮影中はアドリブをバシバシ入れるわけにもいかないですよね。ドニーも日本語のアドリブを咄嗟に理解できないでしょうし。
今回はアドリブはできないですね。この前も別の撮影で九州の人間を演じたんですが、一切アドリブはできなかった。それと同じ感覚ですよね。九州の方言ではアドリブは無理ですからね。で、ドニーはこのセリフ言ったあとに自分のセリフだと思ってるだろうから、変なことは言えないっていうのもありました。もう一人、中国の女優さんもいたので、アドリブを入れるとその人にも迷惑がかかっちゃう。
―その結果、逆にあのコントっぽいやりとりが生まれたのでしょうか。
何度も繰り返し撮りましたね。あとはカツラがすっ飛んだ時に「カツラの“声”を入れたい」って谷垣監督に言ったような気がしますね。使われてるかどうかわからないけど、カツラが地面に落ちた時に「ハウッ……」っていうカツラの声を入れたんです(笑)。
―そんなカツラの声を含め、アフレコによって往年の香港映画のような雰囲気も出ていたように感じました。
あ、そうですか? それは面白いですね。
―それが良い意味でのノリ重視というか、遠藤刑事がブツブツ言う感じなども、その場の雰囲気でアフレコしたのかな? と。
その場のノリでやってるから自分でも覚えてないんでしょうね。
―(笑)。
ジョン・ウー監督の『マンハント』(2017年)という作品に呼んでいただいた時も、アフレコの段階で「セリフを変えたい」と言われましたね。もう撮影した後だったし、その場で言ったのと全然違うセリフを当てなきゃいけないって。「これ絶対合わない」って言いつつ強引にやったのを、急に思い出しました。でも(完成した作品を)観てないから、合ってたのかどうかわからない(笑)。
―昔の香港映画を観ると、口の動きと全く合ってないシーンとかも平気でありますよね。
日本映画も昔はアフレコも多かったですよね。
「特殊メイクがリアルすぎて全然ドニーに見えなくて、それがショックでしたよ(笑)」
―80~90年代から竹中さんを見てきた人からすると、遠藤刑事のキャラクターには、どこか懐かしさを感じるかもしれません。
よくやってることですからね、いまだに。そういうのが大好きなので、「くだらねぇ!」って言うのが好きです。僕は存在しないものを演じるのが大学時代から好きだった。60を過ぎてもそれができるっていうのはある意味、楽しいですよ。
―ドニーと日本人との笑いの感覚のズレを、竹中さんが演じることで我々が感覚的に楽しめるように補正されるというか、純粋に笑える感じになっていると感じました。
自分じゃわからないですが、だったら良かったです。とにかく俺、ドニーが大好きだったから。
―過去のドニー作品でフェイバリットを挙げるとしたら?
『孫文の義士団』なんて俺、泣きましたよ。『捜査官X』はすごく興奮しました。だから僕にとってのドニーは“そのドニー”なので、特殊メイクして会うと共演してる感覚がなくて……。「なんかドニーじゃないなぁ」って、ずーっと思ってました(笑)。だからメイクを落として素になったドニーの出待ちをしたりして、やっと「あぁ~、ドニーだ! 僕はドニーと共演してるんだ!!」ってね。
―それくらい今回の特殊メイクは……
とても素晴らしかったです。リアルでした。もう全っ然ドニーに見えない。
―(笑)。
それがなんかショックでしたよ(笑)。もしかしてドニーじゃないんじゃないか? と思ったりして。本当に大好きだから。でもメイクをとるともちろんドニーなので、「あ、ドニーだ。良かった良かった」っていうのを何度も繰り返してました。
―ドニーのアクションシーンを含め、香港のスタントチームは日本とは違った部分などはありましたか?
それは全然違いますよね、言葉も違うし。まず何言ってるかわかんないですからね(笑)。僕、中国語できないですから「いま何を話してんのかなぁ」とか思いながら。でもそういう現場も経験あるし、たまに日本でも何言ってるかわかんない監督とかいたりするので。
―(一同爆笑)。やはり現場では谷垣監督がやり取りのハブになるというか?
谷垣さんはああいうキャラクターですので、柔らかくフワっとしているという感じで。僕、子どもの頃から質問とかすごく苦手なんです。役についてディスカッションするなんて冗談じゃないって思ってずっと生きてきたし。だから面倒くさいことは一切なかったですよ。でも言葉がわからないから「なんか時間かかってるなぁ」とか、「あのー、しばらく外で散歩してきてもいいですかね?」みたいな感じになったりとかはありましたね(笑)。
―では現場としては、そんなにピリピリすることもなく?
ピリピリすることは、僕はなかったです。ただ、コルセットとカツラがものすごい肉体的にストレスでした(笑)。
―あの状態で結構な動きのあるシーンもありましたよね。
歓楽街のシーンですかね。あの時は何度も同じシーンを撮影して、ずっとやってたらだんだん声が枯れちゃって。理想的なブルース・リーの声が出なかったっていうのがショックでした(笑)。すぐ終わるんだろうと思って、最初から本気で「アター!」ってやってたんですけど……。あと、僕の演じる遠藤刑事のブルース・リーへの想いと僕自身のブルースへの想いが全然違うものだったので、そこもちょっとショックでしたね(笑)。
「見どころは“ドニーの動き”ですよ。やっぱり圧倒的でしょう」
―『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』のココに注目してほしいというポイントは?
とにかく東京の街がセットで、こんなにも素晴らしく再現されたという。僕も現場に行って本当、驚きました。もうそこだけでも一見の価値はあると思います。「これセットかよ!?」って。あとはドニーが太ってて、メイクも素晴らしい。あの特殊メイクをしながらこれだけ動けるっていうのは、さすがドニーです! 彼も50過ぎてるのに。
―竹中さんご自身は、特殊メイクでの撮影経験は?
沢山ありますよ。でもそれが仕事なのでね。でも首のコルセットはしんどいですね(笑)。「あぁ、もう外したいっ!」って、何度も思いました。でも「コルセットはつらいよ」っていうのがこの映画の見所だってのは嫌ですね。
―(一同爆笑)
そこは「新宿の街がすげーぜっ!」ってことで。
―では本作をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
もう圧倒的に“ドニーの動き”です。圧倒的ですね。しかも東京タワーで戦うなんて!
―あのシーンは実際にロケされたんですか?
スタッフ:あれもセットです。
ブルーバックですか? そりゃあそうですよね。東京タワーであんなすごい撮影、できるわけないですもんね。
―でも一見わからないくらいリアルでした。
今、そういう時代ですからね。『アベンジャーズ』だってそうでしょう。何もない中でみんな芝居してるんだもん。でも、みんな本当だと思って観てくれますからね!
―では「遠藤刑事のここ観てくれ」というポイントは?
……「コルセットはつらいよ」っていうことをどれだけ表現できるかってことを、一生懸命やったってことですね(笑)。
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— 映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』公式 (@debugon_tokyo) December 14, 2020
༄ ༅ 遠藤刑事役 #竹中直人 さん
より𝙈𝙞𝙨𝙨𝙞𝙤𝙣到着🔥 ༄ ༅
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撮影:町田千秋
『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』は2021年1月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』
熱血刑事フクロンは、ある事件をきっかけに現場から証拠管理の部署へ異動。さらに事件を追うあまり大切な約束をすっぽかし、婚約者に見放されてしまう。外回りがなくなったことと暴飲暴食がたたり、半年後、フクロンはポッチャリ刑事“デブゴン”になっていた…! しかし、その外見とは裏腹に並外れた身体能力と正義に燃える心は消えていなかった――。容疑者を護送するため日本に降り立ったフクロンは日本の遠藤警部と協力し、新宿歌舞伎町、築地市場、そして東京タワーなどを舞台に巨大な陰謀に立ち向かう!!
制作年: | 2020 |
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監督: | |
出演: |
2021年1月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開