『ストレンジャー・シングス』のノア・シュナップ主演!『エイブのキッチンストーリー』は料理を通して“多様性”をやさしく教えてくれる

Netflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年~)の第4シーズンを待ちわびている方も多いのではないでしょうか。そんな方に朗報です。ウィノナ・ライダー演じるジョイス・バイヤーズの息子、ウィル・バイヤーズを演じているノア・シュナップがBMXを降りてキッチンに立つ、『エイブのキッチンストーリー』が2020年11月20日(金)より公開されます。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
排他主義への柔らかな抵抗を描くフード系ヒューマンドラマ
本作はニューヨーク・ブルックリンを舞台に、イスラエル系の母とパレスチナ系の父という異なる宗教・文化を持つ二人の間に生まれたエイブが、様々な制約に悩みながらも、大好きな料理やブラジル人シェフとの交流を通じて成長していく……というストーリー。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
監督のフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデは映画監督の他に、YouTuberや新聞/雑誌の記者もこなすという多才な人。ブラジル人であるアンドラーデ監督は、本作でエイブが憧れるシェフのチコに自身の半生を重ねているのだろう。一つの肩書きに囚われずさまざまなフィールドで才能を発揮している監督は、多様性が少しずつ受け入れられつつある現代社会の象徴的な存在でもある。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
とはいえ日常的にはいまだに差別や偏見に直面する機会は多く、世界中で分断が拡がっている。そんな中、本作は世界各地の食べ物を掛け合わせて創作する「フュージョン料理」をテーマとしていて、現代社会で起こっている排他主義に対するカウンターとしても機能する、柔らかな抵抗を描いた作品だ。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
失敗しながらも少しづつ正解を積み重ねていくことの重要性
フュージョン料理を得意とするチコに、エイブは見様見真似で“ラーメンタコス”など奇想天外な料理を提案するも失敗ばかり。エイブが見当違いな料理を作ってしまうのは、彼自身の生活がうまくいっていないことと直接関係していて、料理は周囲を取り巻く宗教や家族、友人の比喩になっている。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
チコはそんなエイブを自身のキッチンに見習いとして通わせ、皿洗いやゴミ出しから教え込んでいく。すべては基本から、積み重ねていくことが大事――そんな当たり前のことが理解できず抵抗するエイブの「はやく料理が作りたい! 食材に触りたい!」という要求を、チコは受け入れない。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
なぜならエイブは「人と話すよりも料理が好き」と冒頭で語る通り、圧倒的に向き合うべき人や物=基本的な対話が足りていないのだ。それに気づかないエイブに対し、料理を通して学ばせようと暗に促すチコ。基本が全てであり、何と何を掛け合わせるか、それによってどういった結果を生むかを教えようとしているのである。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
物語の後半で、エイブの祖父は「お前たちの世代は平和を見出せるかも」と語りかける。対話を通して、食事をすること、異文化を理解すること。それらを怠らずに、失敗しながらも少しづつ正解を積み重ねていくことの重要性を、この映画はやさしく教えてくれる。

『エイブのキッチンストーリー』© 2019 Spray Filmes S.A.
文:巽啓伍(never young beach)
『エイブのキッチンストーリー』は2020年11月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開
『エイブのキッチンストーリー』
ブルックリン生まれのエイブは、イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ。文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることが唯一の心の拠りどころだった。誰からも理解されないと感じていたある日、世界各地の味を掛け合わせて「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族を一つにしようと決意する。果たしてエイブは、家族の絆を取り戻すことができるのか――?
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2020年11月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開