見逃したアナタのために!「ゴジフェス2020」徹底解説
毎年11月3日は、日本のカルチャー界において特別な1日である。「そりゃ“文化”の日なんだから当然だろ!」とお思いの方もいるかもしれないが、それだけじゃないのだ。1928年11月3日、手塚治虫誕生。1954年11月3日、『ゴジラ』公開。そう、11月3日こそ漫画の神様と怪獣の王様が生まれた記念すべきGOD&KINGのバースデーなのだ。
祝ゴジラ66歳おめ!#ゴジラの日 #ゴジラフェス pic.twitter.com/CJ1u6W4Yvm
— タカハシヒョウリ/髙橋表裏 (@TakahashiHyouri) November 3, 2020
というわけで、皆様こんにちは。11月“2日”生まれのタカハシヒョウリです。なぜ、あと1日我慢……いや、先延ばしにしてくれなかったのかと思い続けている男が、2020年11月3日にオンラインで開催された「ゴジラ・フェス オンライン2020」の見どころを、今回は参加できなかった! と悔やんでいる皆さんのために独断と偏見で徹底解説したいと思います。
さて、新型コロナウイルスの嵐が地球に吹き荒れ、さまざまなイベントが中止、またはオンラインでの開催を余儀なくされている2020年。特撮業界にもその影響は大きく、夏の風物詩となった「ウルトラマンフェスティバル」がオンライン開催(ひそかに出演させていただきました)、そして2017年から開催されているゴジラの祭典「ゴジラ・フェス」もオンラインでの開催となった。
オンラインという形で趣向を凝らして開催してくれるのは本当に嬉しいのだが、やはり現場の熱気とか、展示を肉眼で見た時の「撮影で使われた小道具が、俺の、この生まれ持った網膜自体に焼きついている~」という感慨とか、そういったフィジカルな感覚がイベントの大きな要素だと思うので、いささか寂しく感じる部分もあるというのが正直なところ。
と、そう思っていたのだが! この「ゴジラ・フェス オンライン2020」、半端じゃなかった。なんと言っても「有料での9時間ぶっ通し配信」である。もう気合いが体内放射のように溢れ出ている。というか、担当者は考えすぎて頭がメルトダウンしてしまったのでは? と心配になってしまう。
「オンラインだから、軽めのやつを無料で」というのも一つの正しい選択だと思う。しかし、逆の発想で「むしろオンラインだからこそのコンテンツ盛り盛りにして、ちゃんとお金を取るぜ!」というのも一つの正解なのだ。何か、感動を覚えてしまった。
と、枠組みのことばかり書いてしまったので、そろそろ中身の見どころを紹介したい。
見どころ①:もっと見てぇ……初代「ゴジラ」カラー化!
1954年、日本初の特撮怪獣映画として公開され、1000万人近い動員を記録した初代『ゴジラ』。“特撮の神様”円谷英二の名を世界に轟かせたこの作品の一部が、NHKアートの手でカラー化され、ゴジラフェスオンラインにてお披露目された。親の顔より見た『ゴジラ』の名シーンが、まったく違った形で蘇る。宝田明さんはよりハンサムに、河内桃子さんはよりお美しく、炎はより熱く、ゴジラはより生々しく。ここには、ぜひ体感してほしい興奮があった。さらにNHKアートによるカラー化のメイキングでは、「火を使う撮影ではゴジラの表面に霧吹きで水を吹き付けていたので湿っている」といった証言や、当時の銀座のカラー写真に写っている同タイプの電柱から色を割り出すといった考証に想像を加えて、いかに自然な着色を施していくかの解説も行われた。
あくまで、今回の配信のための企画としての90秒ほどのカラー化だということだが、やっぱり期待しちゃうよね、全編のカラー化。もちろん「本物」は白黒のオリジナルということになると思うが、「白黒映画」に対する拒否反応というのは意外に根深いものがある。「白黒映画」というのを、そもそも自分たちとは接点のない「めちゃくちゃ古臭いもの」と感じてしまう人も少なくないだろう。カラー化で、新たに『ゴジラ』をより身近に感じ、体験できる人たちが増えるのなら、こんなに素晴らしいことは無い。お願いしますよ、東宝さん。
見どころ②:行きてぇ……東宝スタジオツアー!
数々の名画を生み出してきた、みんなの憧れ、東宝スタジオ。2019年、ごく少人数での見学ツアーが開催され大きな反響を呼んだのも記憶に新しい、そんな禁断の花園・東宝スタジオの中にカメラが潜入し、擬似的にスタジオツアーが出来てしまうコーナーだ。ツアーに参加するのは、ゴジフェスの総合司会も務めるゴジラフリークな元フジテレビアナウンサー・笠井信輔さんと、TOHOシネマズの予告でお馴染みの女優・山崎紘菜さん。撮影スタジオや編集施設、倉庫などはもちろん、敷地内にある牧岡神社やスタジオ裏の空き地など、普通は絶対入れないだろうという所までカメラが入っていくので、かなり見応えがあった。
各スタジオや施設の紹介はもちろんだが、案内人の1人を務める東宝の清水俊文さん(ミレニアムゴジラシリーズでは助監督として参加)の、今は亡き巨大プールに魚を放して釣りをしていたとか、本編と特撮班の助監督が取っ組み合いの喧嘩をしていたとか、情景が浮かんでくるような妙にリアリティのある逸話が面白い。
ちなみに清水さんはゴジラ戦略会議(ゴジコン)のメンバーでもあり、以前BANGER!!! で対談をさせていただいたこともある。
見どころ③:渋いねぇ……居酒屋ゴジラ!
最後は、ゴジラ製作陣によるトークイベント「居酒屋ゴジラ」。毎年のゴジラフェスでも、フィナーレを飾るメインイベントになる。
そして、このトークテーマが公開20周年を迎える『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(2000年)というのが、なかなかの渋さだ。というのもこの『ゴジラ×メガギラス』、ゴジラシリーズを語られる時に無視されやすい、正直言ってやや不遇寄りの作品である。興行的なところもそうだが、特に昆虫型の対戦怪獣であるメガギラスは、商品化の機会も少なく、ベンチを温める二軍怪獣的なポジションに甘んじることが多い。
しかし、手塚監督はじめ当時の製作陣のトークを聞いてから改めて振り返ってみると、女性主人公を大きくフィーチャーしたり、初代『ゴジラ』から直結する世界観に挑戦したりと、「新たな娯楽ゴジラ」を追い求めた作品だったのだと再認識した。そんな『メガギラス』にキッチリと、ガッツリとスポットライトを当ててみせたゴジラフェスの男気よ!(しかし、手塚監督が言葉を濁していた「フジテレビを破壊できなかった本当の理由」、何なんでしょうね?)
「ゴジラ・フェス オンライン2020」の熱量にあらためて拍手を!
……と、見どころを3つほどピックアップしてみたが、これで本当に20%くらい。2021年放送のアニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』の最新情報や、まさに同日に須賀川にオープンした「特撮アーカイブセンター」からの中継、我らがゴジハムくんの復活など、まだまだここには書ききれないほどのコーナーがあり、ゴジラファンとしてかなり満腹感のある9時間だった。
また特撮美術や、ショートムービー、カラー化、東宝スタジオ内での効果音録音など、様々なクリエイティブの現場を覗き見ることが出来(おそらく意識的にそういった構成になっていると思うが)、クリエイター目線でも刺激的な瞬間が数多く訪れたのも特筆しておきたい。
この情報量の海に、しばらくフワフワ浮かんでいたい気分でこの原稿を書いているが、あらためてこの「ゴジラ・フェス オンライン2020」の熱量と、笠井さんの素晴らしい司会っぷりに拍手を送りたい。
文:タカハシヒョウリ
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— ゴジラ (@godzilla_jp) November 3, 2020
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